icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻6号

2017年06月発行

文献概要

特集 食中毒の新たな課題 あまり知られていない食中毒

A群溶血性レンサ球菌による集団食中毒

著者: 四宮博人1 林恵子23

所属機関: 1愛媛県立衛生環境研究所 2松山市保健所衛生検査課 3元 愛媛県立衛生環境研究所

ページ範囲:P.506 - P.511

文献購入ページに移動
はじめに
 A群溶血性レンサ球菌は,上気道炎や化膿性皮膚疾患などの原因菌で,続発症として急性糸球体腎炎やリウマチ熱などを引き起こすことが知られている.「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では,A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が小児科定点報告の5類感染症に,劇症型溶血性レンサ球菌感染症が全数報告の5類感染症に,それぞれ位置付けられている.同菌による咽頭炎の感染経路は,主として保菌者からの飛沫感染や接触感染である.一方,食品を介した集団感染事例も報告されているが,わが国での食中毒の届け出は極めて少ない1)2).2012年8月に愛媛県内で発生した同菌による集団食中毒事例について,概況,特徴,疫学,細菌学的検討,予防法,行政上の取り扱い等について解説する.

参考文献

1)本田武司:A群レンサ球菌.日本食品衛生協会(編):食中毒予防必携,第3版.社団法人日本食品衛生協会,pp181-184, 2012
(溶血レンサ球菌).仲西寿男(監),他:食品由来感染症と食品微生物.中央法規出版,pp469-473, 2009
)検査マニュアル.http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/streptococcusA.pdf
-specific PCR products for routine and accurate typing of group A streptococci. J Clin Microbiol 34:953-958, 1996
5)林恵子,他:おにぎりを原因食品とするA群溶血性レンサ球菌による集団食中毒事例.IASR 34:266-267, 2013
6)土屋美智代,他:弁当を原因食品とするA群溶血性レンサ球菌集団食中毒事例.IASR 34:268-269, 2013
7)Okamoto F, et al:A foodborne outbreak of group A streptococcal infection in Fukuoka prefecture, Japan. Jpn J Infect Dis 67:321-322, 2014
8)国立感染症研究所:A群溶血性レンサ球菌T血清型.http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr/510-surveillance/iasr/graphs/3054-iasrgb2012.html
9)Katzenell U, et al:Streptococcal contamination of food:an unusual cause of epidemic pharyngitis. Epidemiol Infect 127:179-184, 2001
10)Falkenhorst G, et al:Outbreak of group A streptococcal throat infection:don't forget to ask about food. Epidemiol Infect 136:1165-1171, 2008
11)Lancefield RC:Streptococcus in the salad. Lancet 294:157, 1969
12)国立感染症研究所感染症情報センター:A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは.http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/340-group-a-streptococcus-intro.html
13)大石和徳:A群レンサ球菌感染症(STSSを含む).山口徹(監),他:今日の治療指針2016年版,医学書院,2016, pp250-251
14)安岡富久,他:A群レンサ球菌T-22型による集団発生事例.IASR 18:307-308, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら