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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生81巻7号

2017年07月発行

文献概要

特集 予防接種政策

トラベラーズワクチンの現状と課題

著者: 金川修造1

所属機関: 1国立研究開発法人国立国際医療研究センタートラベルクリニック

ページ範囲:P.575 - P.582

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はじめに
 統計によると,2000年代になって日本人の海外渡航者数は毎年,約1,700万人となっている.一方,海外からの来日者の数は近年急増しつつあり,2015年には邦人の海外渡航者数を上回る約1,900万人となっている.2015年には約3,600万人が海外から日本へ出入国したことになる(図1)1).このような現象は,経済のグローバル化による企業の海外進出や教育研究機関の国際交流のための留学などの社会的な事情,また,交通手段の発達などによって,ますます強まることが予想される.
 国際的な移動によって懸念される重要な課題の一つに健康問題が挙げられる.それぞれの地域では,その環境や経済状況,さらには保健医療対策の違いによって医療事情が異なっている.そのため,異なる地域へ移動する場合には,移動先の状況にあった対策をとる必要がある.特に感染症に関しては,麻疹や結核などの旧来から地域で流行が起こっている感染症や,SARS(Severe acute respiratory syndrome)やエボラウイルス感染症のような新興感染症がヒトやモノの移動に伴って世界に広がることを予防することが公衆衛生的に非常に重要なこと認識されている.
 本稿では,国立研究開発法人国立国際医療研究センター(以下,当センター)のトラベルクリニックで行っている感染症対策として最も重要,かつ効果的であるトラベラーズワクチン接種の現状と今後の課題について述べる.

参考文献

1)観光庁:出入国者数.http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html
2)Steffen R, et al:Monthly incidence rates of health problems during stays in developing countries. R Int J Antimicrob Agents 21:89, 2003
3)Global Health Program-Council on Foreign Relations http://www.cfr.org/projects/world/global-health-program/pr1240
4)金川修造:小児感染症に対する予防接種,最近の考え方は? 小児の海外渡航時に考慮すべきワクチン接種.小児臨64:2682-2690,2011
5)NPO法人VPD:予防接種スケジュール.https://www.know-vpd.jp/children/
6)外務省:世界の医療事情.http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/
7)横浜市衛生研究所:疾患別情報.http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/
8)高山直秀:海外渡航者へのワクチン接種.小児感染免疫21:55-63, 2009
9)高谷紗帆,他:アジアを中心とする外国人の成人水痘症例の検討.IASR 37:164-165, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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