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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻1号

2018年01月発行

文献概要

特集 感染症に関するサーベイランス

日本における感染症サーベイランスの黎明

著者: 谷口清州12

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部 2独立行政法人国立病院機構三重病院小児科

ページ範囲:P.14 - P.20

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はじめに
 今回,わが国における感染症サーベイランスの黎明という執筆テーマをいただいた.「広辞苑」(第五版:岩波書店,1998年)によれば,「黎明」とは,明け方,夜明けで,比喩的に「新しい時代・文化・芸術など物事の始まり」と記載されており,これから考えれば,サーベイランスという,ものの考え方の始まりということであろう.このような視点から日本のサーベイランスをみれば,明治初期から「Information for Action」の考え方は培われていたと考える.
 しかしながら,経済の発達とともに衛生状態が改善して以来,世界的に広がっていた「感染症は終わった」という考え方もあって,保健所では感染症対策機能が縮小され,サーベイランスは機能不全に陥っていた.いったん登った太陽は途中で再び沈んでしまったようであり,新興・再興感染症の多発により世界が考えを改め始めた以降も,サーベイランスは,わが国ではなかなか日の目をみなかったのである.1999年の感染症法改正によって現在,わが国のサーベイランスは徐々に体制が整いつつあるが,現在は,既存の感染症のみならず新たな感染症の時代となっており,これに合わせてさらに考え方を変えていく必要がある.
 本稿では,わが国のサーベイランスの歴史を振り返り,温故知新という点から,わが国のサーベイランスの現状と課題を考える.

参考文献

1)厚生労働省:第1章 我が国における健康をめぐる施策の変遷.平成26年版厚生労働白書 健康長寿社会の実現に向けて〜健康・予防元年〜.http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/
2)厚生労働省:伝染病統計.http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/densenbyou.html
3)厚生労働省:感染症発生動向調査事業実施要綱.http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000120159.pdf
4)谷口清州:感染症サーベイランス.岡部信彦,他(編):感染症予防必携,第3版.pp25-33,日本公衆衛生協会,2015
5)Schmidt-Chanasit J, et al:Autochthonous dengue virus infection in Japan imported into Germany, September 2013. Euro Surveill 19:pii:20681, 2014
6)WHO:Inernational Health Regulations. http://www.who.int/topics/international_health_regulations/en/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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