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特集 子ども政策の総合化・包括化
少子化対策の何が問題で何が必要か—これから望まれること
著者: 阿部正浩12
所属機関: 1中央大学大学院経済学研究科 2中央大学経済学部
ページ範囲:P.748 - P.753
文献購入ページに移動一人の女性が生涯にわたって何人出産しているかを示す合計特殊出生率は,わが国では第二次世界大戦後は一貫して低下している(図1)1).1970年代半ばには,人口が増加も減少もしない均衡状態である人口置換水準よりも低い水準となった.1989年には,丙午であった1966年の1.58を下回る1.57まで低下して1990年に「1.57ショック」と呼ばれた.その後も合計特殊出生率は低下を続けており,2005年にはついに1.26まで落ち,その後はやや持ち直して2017年は1.43となっている.この結果,出生数も第二次ベビーブーム(1971〜1974年)以降は一貫して減少しており,2016年には出生数が100万人を切った.2017年の出生数は戦後最低の約94億6千人となった.
一方で,高齢化は急速に進行している.人口全体に占める65歳以上人口の割合を高齢化率と呼ぶ.1950年のそれは5%に満たなかったが,1970年に高齢化社会と定義される7%を超え,1994年には高齢社会と定義される14%を超えた.高齢化率が21%を超えると一般に超高齢化社会と呼ばれるが,現在の高齢化率は25.1%に達している.
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