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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻10号

2018年10月発行

文献概要

映画の時間

—28歳で余命数カ月を宣告されて36年.人工呼吸器と共に,世界一幸せに生きた男とその家族の奇跡の実話.—ブレス—しあわせの呼吸

著者: 桜山豊夫

所属機関:

ページ範囲:P.795 - P.795

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 今月ご紹介する本作の主人公ロビンは28歳でポリオに罹患します.ポリオウイルスに感染しても,多くの場合は不顕性感染か,ごく軽い症状がでるだけで治癒しますが,100〜200人に1人ほどの確率でウイルスが神経系に侵入し,支配領域にマヒを起こします.侵される部位によっては,特に成人期の感染では呼吸筋にまひを起こし,自発的な呼吸が不可能になることがあります.現在では有効な予防接種があるので,多くの国々で根絶状態にありますが,わが国でも1960年代に北海道を中心にポリオが流行しました.呼吸筋がまひした患者は当時,「鉄の肺」と呼ばれた人工呼吸装置によって救命処置が施されました.わが国では「鉄の肺」は不足しており,また,実用化されたワクチンの供給も十分ではありませんでした.この間の状況は「われ一粒の麦なれど」(松山善三監督/1964年/東宝)に描かれています.
 1950年代後半,主人公ロビン(アンドリュー・ガーフィールド)は美しい女性ダイアナ(クレア・フォイ)のハートを射止め,2人は幸せの絶頂にいますが,仕事で滞在していたケニアでポリオを発症します.頸髄への感染でしょうか,首から下は完全にまひし,自力で呼吸することもできません.気管切開し,呼吸器を付けることで何とか救命されたものの,医師からは余命数カ月と宣告されます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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