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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻11号

2018年11月発行

文献概要

特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題

フリーアクセス

著者: 明石真言1

所属機関: 1国立研究開発機構量子科学研究開発機構

ページ範囲:P.803 - P.803

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 放射線は医学の他にも幅広く利用されていますが,一般には意外に知られていません.手荷物,製品や建築物の検査,鉄板・紙の厚さ測定,ゴムやプラスチックの強化,医療器具の滅菌などがその例で,輸血用血液製剤も照射が義務付けられています.上記のように,社会には放射性物質や放射線照射装置が多く存在しています.これら全ての放射線の利用は,正しく管理・使用することを前提としており,医療で受ける放射線は,得られる利益と被ばくする不利益をてんびんにかけたうえで利用されています.
 保健所や市町村保健センターなどで公衆衛生に従事する方々は,放射線被ばくや,その不安に関する相談を受けることがあります.私たちの身体の中にも天然の放射性物質はあります.また,好むと好まざるにかかわらず自然界から放射線を浴びており,その量は,住んでいる場所の緯度経度や環境で異なります.富士山の山頂や航空機上では,自然放射線のレベルは地上の数倍から数十倍以上高いのが通常ですが,ここで働く人にがんなどのリスクが高いという報告はありません.放射線に関して,正しい知識を持ったうえで,その影響に関して危険なこととそうでないことを伝えるのも公衆衛生関係者の仕事です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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