icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻11号

2018年11月発行

文献概要

特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題

放射線防護と医療被ばく

著者: 赤羽恵一1

所属機関: 1国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 計測・線量評価部 外部被ばく線量評価チーム

ページ範囲:P.830 - P.834

文献購入ページに移動
放射線の防護体系
 放射線防護の基準となっている防護体系は,国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)と呼ばれる組織が刊行物(Publication)のかたちで出している勧告に基づいている.ICRPは放射線防護の専門家によって構成されている独立した組織であり,どの国にも属していない.しかしながら,その勧告内容は尊重されており,世界各国の放射線規制法令に導入されている他,国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)の国際基本安全基準(International Basic Safety Standards:BSS)1)にも取り入れられており,実質的に放射線防護の国際基準となっている.この防護体系は,これまで何度か改訂がなされており,最新版は2007年に出された「ICRP Publication 103」(以下,2007年勧告)2)で,その前の版は1990年の「Publication 60」(以下,1990年勧告)3)である.
 日本では放射線審議会が国内法令への取り入れの検討を行い,2000年に1990年勧告の内容を反映した規制法令が公布された.その後,2007年勧告の導入が検討され,審議会から中間報告4)も出されたが,2011年3月に起こった東日本大震災と福島第一原子力発電所事故によって審議の中断を余儀なくされ,いまだ導入されていない状態が続いている.

参考文献

1)IAEA:Radiation Protection and Safety of Radiation Sources:International Basic Safety Standards. https://www-pub.iaea.org/MTCD/Publications/PDF/Pub1578_web-57265295.pdf
2)ICRP:ICRP Publication103 国際放射線防護委員会の2007年勧告.日本アイソトープ協会,2009 http://www.icrp.org/docs/P103_Japanese.pdf
3)日本アイソトープ協会:ICRP Publication 60 国際放射線防護委員会の1990年勧告.http://www.icrp.org/docs/P60_Japanese.pdf
4)放射線審議会基本部会:国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告(Pub. 103)の国内制度等への取入れに係る審議状況について.http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/pdf/ICRP2007kankoku_Pub103_shingi.pdf
5)ICRP:Statement on Tissue Reactions Approved by the Commission on April 21, 2011. http://www.icrp.org/docs/2011%20Seoul.pdf
6)赤羽恵一:医療における放射線防護 エビデンスに基づいて現場の質問に答える 医療被ばくの現状と考え方 医療被ばくの現状.INNERVISION 25:46-49, 2010 http://www.innervision.co.jp/01inner/2010/201006bougo/046-049.pdf
7)医療被ばく研究情報ネットワーク,他:最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定.http://www.radher.jp/J-RIME/report/DRLhoukokusyo.pdf
8)個人線量測定機関協議会:実効線量の分布表.http://www.kosenkyo.jp/siryou/datalink.htm
9)厚生労働省:医政地発0511第1号 放射性医薬品を投与された患者の退出について.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2281&dataType=1&pageNo=1

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら