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特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題
放射線防護と医療被ばく
著者: 赤羽恵一1
所属機関: 1国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 計測・線量評価部 外部被ばく線量評価チーム
ページ範囲:P.830 - P.834
文献購入ページに移動放射線防護の基準となっている防護体系は,国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)と呼ばれる組織が刊行物(Publication)のかたちで出している勧告に基づいている.ICRPは放射線防護の専門家によって構成されている独立した組織であり,どの国にも属していない.しかしながら,その勧告内容は尊重されており,世界各国の放射線規制法令に導入されている他,国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)の国際基本安全基準(International Basic Safety Standards:BSS)1)にも取り入れられており,実質的に放射線防護の国際基準となっている.この防護体系は,これまで何度か改訂がなされており,最新版は2007年に出された「ICRP Publication 103」(以下,2007年勧告)2)で,その前の版は1990年の「Publication 60」(以下,1990年勧告)3)である.
日本では放射線審議会が国内法令への取り入れの検討を行い,2000年に1990年勧告の内容を反映した規制法令が公布された.その後,2007年勧告の導入が検討され,審議会から中間報告4)も出されたが,2011年3月に起こった東日本大震災と福島第一原子力発電所事故によって審議の中断を余儀なくされ,いまだ導入されていない状態が続いている.
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