文献詳細
特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題
文献概要
はじめに
放射線は医療現場以外にも現代社会のさまざまな場所で利用されており,放射線の利用なしには生活は成り立たない.しかし,「放射線は怖い」「放射線を浴びると長期にわたって健康に悪影響がある」というイメージが人々の潜在意識の中にある.いったん事故が発生すると,少量の放射線曝露であっても過剰に反応し,健康不安に陥る.風評被害も含めて,住民に与える心理的・経済的ダメージも長期に渡る.
本稿では,1999年の東海村JCO臨界事故(以下,JCO事故),2011年の福島第一原子力発電所事故で茨城県が経験した住民の健康不安への対応を基にして,放射線のリスクコミュニケーションにおいて注意すべきと思われることを述べる.
放射線は医療現場以外にも現代社会のさまざまな場所で利用されており,放射線の利用なしには生活は成り立たない.しかし,「放射線は怖い」「放射線を浴びると長期にわたって健康に悪影響がある」というイメージが人々の潜在意識の中にある.いったん事故が発生すると,少量の放射線曝露であっても過剰に反応し,健康不安に陥る.風評被害も含めて,住民に与える心理的・経済的ダメージも長期に渡る.
本稿では,1999年の東海村JCO臨界事故(以下,JCO事故),2011年の福島第一原子力発電所事故で茨城県が経験した住民の健康不安への対応を基にして,放射線のリスクコミュニケーションにおいて注意すべきと思われることを述べる.
参考文献
1)茨城県:核燃料加工施設臨界事故の記録.茨城県生活環境部原子力安全対策課,2000
2)東海村:JCO臨界事故から10年を迎えて〜語り継ぐ思い〜.pp100-102, 2010 https://www.vill.tokai.ibaraki.jp/manage/contents/upload/404001_20101101_0003.pdf
3)茨城県保健福祉部:ウラン加工施設臨界事故関連緊急時医療活動・健康調査等報告書.2000
4)原子力安全委員会健康管理検討委員会:健康管理検討委員会報告.2000
5)長瀧重信:原子力災害に学ぶ 放射線の健康影響とその対策.丸善出版,pp75-80,2012
6)西澤真理子:エネルギーフォーラム新書 リスクコミュニケーション.pp88-202,エネルギーフォーラム,2013
7)石井一弘,他:有機ヒ素中毒の10年—ジフェニルアルシン酸中毒の疫学・臨床・代謝.Brain Nerve 67:5-18, 2015
8)環境省:ジフェニルアルシン酸による健康影響について〜茨城県神栖市における有機ヒ素化合物汚染〜.http://www.env.go.jp/chemi/report/h26-03/index.html
掲載誌情報