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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻2号

2018年02月発行

文献概要

特集 「早期発見」をめぐる課題

タンデムマス・スクリーニングの効果と課題

著者: 山口清次1

所属機関: 1島根大学医学部小児科

ページ範囲:P.132 - P.137

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はじめに
 代謝異常などの新生児マススクリーニング(newborn screening:NBS)は,知らずに放置すると重大な健康被害の起こるような代謝異常症を,新生児期に見つけて治療介入し,障害の発症を予防する事業である.わが国では1977年に始まり,対象疾患は従来は6疾患であったが,2014年度にタンデムマス(tandem mass spectrometry:TMS)法が導入されて,現在は20疾患に拡大されている.タンデムマス・スクリーニング(以下,TMSスクリーニング)の対象疾患には,ガスリー法で検査されていたアミノ酸血症3疾患に加えて,有機酸・脂肪酸代謝異常症が加わった1).これに伴ってガスリー法は廃止された.
 本稿では,新たに加わった有機酸・脂肪酸代謝異常症を中心に,TMSスクリーニングの効果と課題について述べる.

参考文献

1)山口清次:新生児マススクリーニングの新たな展開—タンデムマス法の導入.公衆衛生76:853-857, 2012
2)Yamaguchi S, et al:Expanded newborn mass screening with MS/MS and medium-chain acyl-CoA dehydrogenase(MCAD)deficiency in Japan. Jpn J Mass Screening 23:270-276, 2013
3)但馬剛:新生児マススクリーニング対象疾患の診断と治療.医事新報4838:35-43, 2017
4)Venditti CP, et al:Disorders of mitochondrial fatty acid oxidation. Berman RE, et al(eds):Nelson Textbook of Pediatrics, 17th ed. pp433-437, W.B. Saunders, Philladelphia, 2003
5)山口清次:マススクリーニングのコホート・コンサルテーション体制に関する研究.平成26〜28年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)総合研究報告書.2017
6)Wilson JMG, et al:Principles and Practice of Screening for Disease, World Health Organization Public Health Papers. No.34.1968 http://apps.who.int/iris/handle/10665/37650
7)山口清次:新生児マススクリーニング事業における長期追跡体制のあり方に関する研究.平成28年度日本公衆衛生協会地域保健総合推進事業平成28年度報告書.pp1-20, 2017
8)山口清次:タンデムマスを導入した新生児マススクリーニングの社会的意義と課題.公衛情報44:5-8, 2014
9)山口清次:タンデムマス法を導入した新生児マススクリーニングの新しい体制.医事新報4838:26-34, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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