icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻3号

2018年03月発行

文献概要

視点

北海道大学大学院における公衆衛生人材の育成

著者: 玉腰暁子1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院社会医学分野公衆衛生学教室

ページ範囲:P.184 - P.185

文献購入ページに移動
公衆衛生とは
 本稿を執筆するため,過去の「公衆衛生」誌をめくってみました.81巻(2017年)1〜12号の特集だけを見ても,「歯科口腔保健の推進」「人に死を招く動物—人・昆虫・寄生虫」「がん対策の加速化」「原子力災害と公衆衛生—避難指示解除後の地域復興に向けて」「眼の健康とQOL」「食中毒の新たな課題」「予防接種政策」「衛生監視・指導行政の現状と課題」「アルコール健康障害対策の推進」「薬剤耐性(AMR)対策」「薬局・薬剤師の地域展開—コミュニティ・ファーマシー」「地球温暖化対策—2020年以降の新たな国際枠組み」とテーマは多岐にわたっています.そもそも,公衆衛生は英語で「Public Health」.言うまでもなく,publicは人々(集団)を,healthは健康,保健を意味することから,胎児・新生児から高齢者まで,健康な人も病気を抱えている人も,社会で生活する全ての人々を対象として,身体的・精神的健康を守り増進するための実践であり学問分野ですので,上記のような広い守備範囲となるのは当然かもしれません.
 一方で,これだけ広範囲な内容を,大学という閉じた空間の中で教育するのは難しいともいえます.学部レベルで公衆衛生に特化した大学はなく,医学部,保健学部などの医療系の学部や,食べること(栄養学部)・身体を動かすこと(体育学部)などの生活習慣に関わる学部などで一部が扱われている程度ではないかと思います.しかし,わが国で加速する少子高齢化,うつ病・自殺者の増加,原発事故による放射能汚染,数年に1回起きる災害,温暖化に代表される地域環境の変化,食の安全など,現在の健康・医療問題への喫緊の対応が求められています.

参考文献

1)増田寛也:地方消滅 東京一極集中が招く人口急減.中央公論新社,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら