文献詳細
連載 Coda de Musica 心に響く音楽療法・3
最後まで“自分らしく”生きるためには?—エミリーが見た光
著者: 三道ひかり1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
ページ範囲:P.253 - P.255
文献概要
前回は,ニューヨークで最初に出会った2名の患者さんとのやりとりを通じて,彼らの光となり伴走者となる音楽療法の役割を説明した.
当時,在宅ホスピスでは週に1回,他職種との会合ミーティングが行われていた.よく話題となったのは,終末期の疾患であると診断されたのち,ホスピスチームと初めて接触する患者さんの反応であった.ホスピスという言葉で終末期や死という言葉を連想し,サービスを拒否してしまう患者さんが数多くいたからである.病院治療からホスピス・ケアへ移行する.それによって,かつて自分の中に全く存在してなかった,「人生の終わり」という現実を突きつけられる.自分がそれまでに構築してきた“自己”が脅かされる.そのことへの恐怖反応が生じていたに違いない.
掲載誌情報