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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻6号

2018年06月発行

文献概要

特集 聴覚障害の早期発見と支援体制

先天性難聴児のゲノム診療の意義と動向

著者: 松永達雄12

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部 2国立病院機構東京医療センター臨床遺伝センター

ページ範囲:P.468 - P.473

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はじめに
 先天性難聴の診療効果を高めるためには,各難聴児の臨床的特徴を把握することが役立つ.しかし,乳幼児で実施できる聴力検査は限定されているとともに,聴力検査で病態や将来の聴力変化を予測することは困難あるいは不可能である.一方,原因となる遺伝子変異が判明すると,ある程度,難聴の病態,特徴,経過を予測できる.ただし,先天性難聴の原因遺伝子とその変異は極めて多数あるため,これまでの遺伝学的検査で原因確定できる難聴児はごく一部であった.
 近年,ゲノム解析技術の進歩によって,臨床検査として多数の遺伝子の変異を調べることが可能となり,その結果に基づいたゲノム診療が開始されつつある.本稿では,先天性難聴のゲノム診療の意義と,その最新の動向について述べる.

参考文献

1)Morton CC, et al:Newborn hearing screening--a silent revolution. N Engl J Med 354:2151-2164, 2006
2)Parker M, et al:Genetic investigations in childhood deafness. Arch Dis Child 100:271-278, 2015
3)松永達雄:先天性難聴児の遺伝子変異の研究と診療における新しい動向.音声言語医56:219-225, 2015
4)永井遼斗,他:「目で見る遺伝医学」シリーズ(No.2) 難聴の遺伝医学.医療70:160-166, 2016
5)松永達雄:遺伝性難聴と内耳再生医療.医事新報4846:29-31, 2017
6)野村文夫:分子遺伝学的検査.福嶋義光(監),櫻井晃洋(編):遺伝カウンセリングマニュアル 改訂第3版.南江堂,pp33-38,2016
7)松永達雄:難聴遺伝子変異.加我君孝(編):新生児・幼小児の難聴—遺伝子診断から人工内耳手術,療育・教育まで.診断と治療社,pp19-25,2014
8)Richards S, et al:Standards and guidelines for the interpretation of sequence variants:a joint consensus recommendation of the American College of Medical Genetics and Genomics and the Association for Molecular Pathology. Genet Med 17:405-424, 2015
9)Mittal R, et al:Recent Advancements in the Regeneration of Auditory Hair Cells and Hearing Restoration. Front Mol Neurosci 10:236, 2017
10)Hosoya M, et al:Cochlear Cell Modeling Using Disease-Specific iPSCs Unveils a Degenerative Phenotype and Suggests Treatments for Congenital Progressive Hearing Loss. Cell Rep 18:68-81, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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