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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻6号

2018年06月発行

文献概要

連載 衛生行政キーワード・126

新生児聴覚検査の実施

著者: 梅木和宣1

所属機関: 1厚生労働省子ども家庭局母子保健課

ページ範囲:P.486 - P.489

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はじめに
 新生児期に行われる疾病の早期発見を目的としたスクリーニングには先天性代謝異常等検査と聴覚検査(以下,新生児聴覚検査)がある.先天性難聴は1,000人に1〜2人とされ,極低出生体重児などの聴覚障害のリスク因子を持つ者だけでなく,出生時には何ら異常を示さない児にも聴覚障害はみられる.1998(平成10)〜2001(平成13)年度の厚生科学研究による18,204例の新生児聴覚検査の結果では,正常新生児からの両側聴覚障害は0.05%(2,000出生に1例),片側聴覚障害は0.09%であった1)
 かつて聴覚障害は,1歳6カ月児・3歳児健診などで発見され,医療機関で診断された後,療育が開始されていた.1990年代後半に,生後6カ月までの早期に発見され,適切な支援が行われた場合には聴覚障害による音声言語発達などへの影響が最小限に抑えられることが明らかになり,また,新生児期に正確な聴覚検査が可能な検査機器〔自動ABR(auditory brainstem response),OAE(otoacoustic emission)〕が普及したこともあって,新生児聴覚検査が実施されるに至った.
 聴覚障害を早期に発見して適切な療育を図り,聴覚障害による音声言語発達などへの影響を最小限に抑えるためには,全ての新生児を対象とした新生児聴覚検査を実施することが重要である.本稿では,新生児聴覚検査の実施に関して説明する.

参考文献

1)三科 潤:全出生児を対象とした新生児聴覚スクリーニングの有効な方法及びフォローアップ,家族支援に関する研究.平成13年度研究報告書.厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野子ども家庭総合研究事業,2002
2)厚生労働科学研究 子ども家庭総合研究事業「新生児聴覚スクリーニングの効率的実施および早期支援とその評価に関する研究」班:新生児聴覚スクリーニングマニュアル.2007.http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/JYOSEI/shinseiji_html/shi-top.html
3)厚生労働省子ども家庭局母子保健課長:子母発1228第1号「新生児聴覚検査の実施について」の一部改正について http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20180115_shuuchiirai2.pdf
4)厚生労働省子ども家庭局母子保健課:新生児聴覚検査の実施状況等について(平成29年11月2日).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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