文献詳細
文献概要
特集 脳性麻痺と産科医療補償制度
産科医療補償制度の発足から今日までの歩み
著者: 鈴木英明1
所属機関: 1公益財団法人日本医療機能評価機構
ページ範囲:P.517 - P.525
文献購入ページに移動分娩時の医療事故では過失の有無の判断が困難な場合が多く,裁判で争われる傾向がある.紛争が多いことが産科医不足の理由の一つであるとされており,産科医不足の改善や産科医療提供体制の確保が,わが国の医療における優先度の高い重要な課題とされてきた.このため,産科医療関係者などによって,過失の有無を問わずに補償を行う無過失補償制度の創設が研究・議論され,2006年11月に与党「医療紛争処理のあり方検討会」において取りまとめられた「産科医療における無過失補償制度の枠組みについて」において,安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として無過失補償制度の創設が示された.
上記の枠組みを受けて,2007年2月に財団法人日本医療機能評価機構(当時.2011年に公益財団法人へ移行.以下,評価機構)に「産科医療補償制度運営組織準備委員会」が設置され,制度の創設に向けた調査や制度設計などの検討が行われた.医学的事項に関しては,「調査専門委員会」において専門家による議論が行われた.その結果,2009年1月に評価機構が運営組織となって産科医療補償制度(以下,本制度)が発足した1).その後,2015年1月の補償対象基準の一部改定を経て,2018年には制度発足から10年目を迎えた.
参考文献
掲載誌情報