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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻7号

2018年07月発行

文献概要

特集 脳性麻痺と産科医療補償制度

社会的制度としての産科医療補償制度の意義と今後の課題

著者: 小林廉毅1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学

ページ範囲:P.526 - P.531

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はじめに
 産科医療補償制度(以下,本制度)は2009年1月に産科医療のセーフティーネットとして創設された.分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児に対して総額3,000万円の補償を行うとともに,全例について分娩機関から提出された医療記録を基にして専門家が原因分析を行う.分析結果は児の家族と分娩機関にフィードバックされ,また,十分な匿名化を行ったうえで要約版が公表される.さらに,集積された原因分析については,数量的・疫学的分析ならびに産科医療の質の向上の観点から分析が行われ,毎年,再発防止報告書が公表される.
 2011年に第1回再発防止報告書が公表されて以来,これまで8回の報告書が公表されている(最新は2018年3月).初期の報告書では分析対象事例が少なく,十分な分析は困難であったが,分析対象事例が増えるにつれて再発防止に有用な知見が得られつつある.報告書は本制度のホームページ1)で閲覧・ダウンロードできる.すなわち,本制度の意義は,速やかな補償による家族の経済的負担軽減と脳性麻痺発症の原因分析・再発防止にある1)2)

参考文献

1)公益財団法人日本医療機能評価機構:産科医療補償制度.http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp
2)厚生労働省:産科医療補償制度について.http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/i-anzen/sanka-iryou/index.html
3)最高裁判所・医事関係訴訟委員会:医事関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間.http://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/izikankei/index.html#iji06
4)厚生労働省:産科医療補償制度運営組織準備委員会報告書.http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/dl/s0827-9d.pdf
5)東京海上日動火災保険株式会社,他:PL関連事故・訴訟の現状.http://www.jtdna.or.jp/PDF/pl_kanren.pdf
6)医薬品医療機器総合機構.医薬品副作用被害救済制度に関する業務.https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0001.html
7)日本医療機能評価機構:補償対象の範囲と考え方.http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/application/sphere.html
8)日本医療機能評価機構:第38回「産科医療補償制度運営委員会」次第.http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/committee/pdf/obstetric_meeting_38.pdf
9)日本医療機能評価機構:産科医療補償制度ニュース 第5号.http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/other/pdf/sanka_news_05.pdf
10)日本医療機能評価機構:産科医療補償制度ニュース 第3号.http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/other/pdf/sanka_news_03.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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