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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生82巻8号

2018年08月発行

雑誌目次

特集 アレルギー疾患対策

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著者: 「公衆衛生」編集委員会

ページ範囲:P.583 - P.583

 1966年に石坂公成・石坂照子両先生が,花粉症などのアレルギー疾患の原因物質IgE(免疫グロブリンE)の発見を発表してから,ほぼ半世紀が過ぎた2014年の国会でアレルギー疾患対策基本法は成立し,2015年12月25日に施行されました.
 アレルギー疾患は,気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎や結膜炎,食物アレルギーなど病態が非常に多様であり,かつ,乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層にわたって罹患者の多い疾患です.患者一人一人のライフステージの中で複数のアレルギー疾患を合併し,症状の増悪,軽快,再発などを不定期に繰り返すため,保育所,学校,職場などのさまざまな場面で日常生活に多大な影響を及ぼしています.しかし,地域によっては適切な相談体制や医療体制の整備が進んでいなかったことから,アレルギー疾患対策基本法が制定され,2017年3月には同法に基づいて厚生労働大臣が「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(以下,基本指針)を策定・公表しました.

アレルギー疾患対策の課題と今後の推進方策

著者: 斎藤博久

ページ範囲:P.584 - P.587

はじめに
 わが国では,数千万人の国民がアレルギー疾患に罹患している.これに対して,医療機関の診療レベルや地域の格差をなくし,全国どこでも,エビデンスに基づく診療や最新情報を受けることができることなどを目標とした「アレルギー疾患対策基本法」1)(以下,基本法)が制定された.また,厚生労働省において「アレルギー疾患対策協議会」2)(以下,協議会)が2016年2月3日から10回にわたって開催された.基本法を実施するための指針として,2017年3月21日には「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」3)(以下,指針)が策定された.現在,この指針に基づいて,さまざまな対策案が2018年度以降の予算に反映されつつあり,アレルギー疾患医療の提供体制は変わろうとしている.
 筆者は,日本アレルギー学会の代表として協議会に推薦され,2018年1月までの2年間,会長を務めた.本稿では,この2年間に協議会で議論されたアレルギー疾患対策の課題と今後の推進方策について,私見を交えて解説する.

アレルギー疾患の発症要因と予防可能性

著者: 荒川浩一

ページ範囲:P.588 - P.593

はじめに
 近年,アレルギー疾患は,西欧化した社会において罹患率が著明に増加しており,健康的にも社会・経済的にも多大な負担をもたらしている.アレルギー疾患は小児において最も一般的な慢性疾患であり,時間とともに一部は寛解するが,治癒することなく成人まで継続することも多く,健康上の重大な懸念事項となっている1)
 免疫学などの進歩によって,アレルギー疾患の病態ならびに発症機序の解明に関する研究は加速度的に進歩している.しかし,アレルギー疾患の発症要因は多様であり,発症機序の解明が必ずしも発症予防策の実用化につながるとは限らず,今後の大きな課題となっている.本稿では,アレルギー疾患の発症要因および発症予防策について,これまでの国内外の最近の研究成果に基づいて解説する.

アレルギー疾患に対する疫学調査の現状と今後の展望

著者: 赤澤晃

ページ範囲:P.594 - P.598

はじめに
 アレルギー疾患は,小児科クリニックの受診や,保険医療機関で相談を受ける頻度の高い慢性疾患です.“よく診る疾患”として,どのくらいの頻度なのか,最近増えているのかという動向を知っておくことは,診療体制や薬剤の準備,指導にかける準備を行ううえで重要です.また,発症予防対策や治療法の開発を考えていくうえで基本的かつ重要なデータとなります.

アレルギー疾患医療の均てん化に向けた課題と展望

著者: 山口正雄

ページ範囲:P.600 - P.605

はじめに
 アレルギー疾患の構成は診療科ごとに相違があり,似ていると考えられがちな内科と小児科とでも大きく異なっている.成人ではほとんどが喘息であり,専門医も非専門医も多数の患者を診療している.喘息患者は全年齢に多数が分布し(図1)1),特に有症率が高いのは小児期であるため,小児科においても喘息は重要な疾患である1)2).なお,喘息死は近年減少しているものの(図2)2),ほとんどは高齢者である(図3)2)
 内科の喘息診療においては,労働者および高齢者への適切な医療提供のため,職場環境や産業医への配慮指導,および家族や介護者に対する指導を必要とする.一方,小児科においては喘息に加えて頻度の高い食物アレルギーおよびアナフィラキシーとアトピー性皮膚炎も重要な診療対象であり,このことが内科との違いといえる.また,全身の臓器を診療する方針が浸透しており,アレルギーマーチに伴うさまざまなアレルギー疾患の自然史を意識していることが小児アレルギー診療の特性であろう3)〜5)

多職種連携による小児のアレルギーケアの推進

著者: 楠隆

ページ範囲:P.606 - P.610

はじめに
 アレルギー疾患の小児は,病気を抱えながらも,普段の日常生活を病院ではなく,家庭,学校,幼稚園,保育所など病院の外で過ごす.そこには,診察室の短時間の診療では見えてこないさまざまな悩みや問題点がある.これからの小児医療スタッフ,とりわけ小児アレルギーに関わる者には,病院でアレルギー児が受診するのを待っているだけではなく,病院を飛び出して日常生活の中にいる小児を捉え,問題点を抽出し,そこへ介入していく姿勢が必要である.そのためには,医師の診察のみでは不十分である.看護師,薬剤師,管理栄養士,さらには保健師,学校・園・保育所関係者,行政関係者などを幅広く巻き込んだ多職種連携が必要である.
 幸い,わが国には,小児アレルギー疾患の専門知識と患者指導のスキルを習得する専門資格である小児アレルギーエデュケーター(pediatric allergy educator:PAE)制度があり,本資格を獲得した医療スタッフが全国で活躍している.本稿では,PAEの活動を軸にして,多職種による小児のアレルギーケアの実態と課題を考察する.

食物アレルギー対策の進歩と今後の展望

著者: 今井孝成

ページ範囲:P.612 - P.617

食物アレルギー対策の進歩
 医学は日進月歩と言われて久しいが,食物アレルギーの臨床についても,まさにその感がある.本稿では,食物アレルギーの発症予防の劇的な考え方の変化と,治癒を目指した経口免疫療法および食事療法に関して述べる.

職業性アレルギー疾患の克服に向けた課題と展望

著者: 土橋邦生

ページ範囲:P.618 - P.625

はじめに
 筆者が職業性喘息について講演する時には,必ず1枚目のスライドで,群馬大学医学部第一内科初代教授であり,第一回職業アレルギー研究会会長であった七条小次郎先生の言葉を出している.
 「職業性喘息こそは,人類が作り出した疾患群の代表的なものであり,これにいかに対処すべきかは,永遠に我々臨床家および公衆衛生学者に課せられた課題である.」1)
 この言葉こそが,職業性アレルギー疾患の臨床的・疫学的な重要性を端的に表している.職業性アレルギー疾患早期発見,早期対処が何より重要である.本稿では主に職業性喘息の重要性と現状,今後の展望について述べる.

環境化学物質によるアレルギー疾患に関する行政施策

著者: 奥村二郎 ,   東賢一 ,   水越厚史

ページ範囲:P.626 - P.630

はじめに
 気管支喘息,アトピー性皮膚炎,花粉症,食物アレルギーなどのアレルギー疾患の患者は増加しており,今や国民の約2人に1人が罹患していると言われ,さらに増加傾向にある1)
 環境化学物質(金属を含む)を要因とするアレルギー疾患に対する行政施索を立案し施行する政府内の担当は,①水や大気の環境およびその健康影響は環境省,②疾病に対する診療や,室内環境,特定の施設のプールおよび露天風呂,食品,労働災害は厚生労働省,③農産品は農林水産省,④食品の健康リスクの評価や政府内の調整は内閣府,などと分かれている2)
 環境中の化学物質については,大気や水質,土壌,廃棄物および地球環境の保全の観点から,環境基本法に基づいて環境基準や環境基本計画が定められている.大気汚染防止法などの排出規制を目的とする法律の他に,化学物質の評価や管理を目的として,「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下,PRTR法)や,「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化学物質審査規制法.以下,化審法),事業者には,化学物質の自主的な管理を促すためのいわゆるSDS(安全データシート)制度があり,感作性化学物質はこれらの化学物質対策の枠組みの中で取り扱われている.
 近年,アレルギー疾患の診療については,「アレルギー疾患対策基本法」によって政府の行う対策の基本理念や指針が定められ,国,地方公共団体,医療保険者,国民,医師・医療関係者および学校の責務が明らかにされている.また,労働者に気管支喘息や鼻炎,皮膚炎などを起こす職業上のアレルギーについては,労働災害としての補償や労働衛生上の管理が法律に基づいて行われている.
 近代の経済活動の発展に伴う環境や,生活様式,食生活の変化などに特有な何らかの刺激がアレルギー疾患の増加に関与している可能性を探るため,約10万組の親子を対象とした出生コホートであるエコチル調査も開始されている3).また,化学物質や金属,混合物による健康リスクに関する行政施策立案の根拠については,環境研究総合推進費の枠組みで研究が推進されている4)

アレルギー疾患対策の課題と提案—患者・家族の立場から

著者: 長岡徹

ページ範囲:P.632 - P.637

寄せられる相談—受診しているのに希望が見いだせず
 NPO法人アレルギーを考える母の会(以下,当会)は,園部まり子代表の次男が重い喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー,鼻炎,結膜炎などで苦闘した末に,専門医に出会って劇的に健康を回復した経験を基にして,1999年に,ともに悩んだ母親10人で発足した.2008年には法人化した.相談を寄せる患者を適切な医療(標準治療)へと橋渡しして健康の回復を図る活動を第一にしている.具体的には,患者が適切な医療を知ることができる学習懇談会や講演会を開催し(図1),また,相談から浮かぶ社会的な課題を解決するために国や自治体,学会などに働きかける調査・提案活動を続けている.
 当会は東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)などの被災地域でも活動を行っている.日本アレルギー学会専門医と被災地域に同行し,保健師や栄養士,助産師,学校や保育所の教職員などが参加する研修の機会を提供する取り組みは,東日本大震災の被災地域では102回行い,参加者は6,100人を超えた(2018年3月現在).患者の声を厚生労働省や文部科学省,消費者庁などに届けて意見交換を続ける中で,当会の園部代表は省庁の検討会やアレルギー疾患対策基本法1)に基づいて設置されたアレルギー疾患対策推進協議会の委員を拝命し,国の「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の作成にも携わらせていただいた2)

視点

富山大学大学院医学薬学研究部疫学・健康政策学講座における社会医学人材の育成

著者: 関根道和

ページ範囲:P.580 - P.581

はじめに
 富山大学医学部は1975年に富山医科薬科大学医学部として開学し,2005年の富山大学との再編・統合,2006年の大学院部局化を経て,2015年に開学40周年を迎えた.3,000名以上の医師を輩出している,歴史ある医学部である.
 医学教育は歴史的な変革期にある.背景には新興国における医学校の乱立があり,そのため,教育の質の保証が求められている.米国が「2023年以降,国際基準で認証を受けた医学校の卒業生に限って米国国家試験の受験資格を与える」と通告したことを契機にして,日本国内でも国際基準に準拠した認証評価が開始された.富山大学は全国で7番目に認証評価を受審し,国際基準で一定の水準にあることが示されている.

連載 衛生行政キーワード・127

アレルギー疾患医療提供体制の整備

著者: 貝沼圭吾

ページ範囲:P.638 - P.641

アレルギー疾患医療提供体制の在り方を検討するに至った経緯
 2014(平成26)年6月にアレルギー疾患対策基本法1)(平成26年法律第98号.以下,本法)が成立し,2015(平成27)年12月に施行された.本法においては,第11条第1項に,「アレルギー疾患対策の総合的な推進を図るため,アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を策定しなければならない」と規定されている.これに基づいて2016(平成28)年2月から「アレルギー疾患対策推進協議会」において約1年にわたって議論がなされ,2017(平成29)年3月21日に厚生労働大臣が「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」2)(以下,基本指針)を告示した.
 基本指針には,国民がその居住する地域にかかわらず,等しくそのアレルギーの状態に応じて適切なアレルギー疾患医療を受けることができるようにアレルギー疾患医療全体の質の向上を進めることがうたわれている.また,①医療の提供体制の在り方に関する検討を行うことや,②全国的な拠点となる医療機関および地域の拠点となる医療機関のそれぞれの役割や機能,ならびにこれらの医療機関とかかりつけ医との間の連携協力体制に関する検討を行うことなどが記載されている.

リレー連載・列島ランナー・113

岐阜県の新型インフルエンザ対策における保健所の取り組み

著者: 久保田芳則

ページ範囲:P.643 - P.647

はじめに
 前回(82巻7号),執筆された高山市役所市民保健部の川尻宏昭先生は,限界集落を支える診療所勤務のかたわら,行政医師として持続可能な地域医療に取り組まれており,地元のテレビ番組「仕事人列伝」でも取材を受けたことがある.私と先生は,たまたま出身大学が同じであり,バトンを受け取れたことを光栄に思う.
 本稿では,岐阜県(以下,当県)が取り組んでいる新型インフルエンザ対策について紹介する.

Coda de Musica 心に響く音楽療法・8

病室でホッとしますか?—普通であることの癒し

著者: 三道ひかり

ページ範囲:P.648 - P.651

郷に入っては郷に従え
 海外旅行に行った際,日常のふるまいが通用しなかったことはないだろうか.海外には私たちの知らないルール,規則がある.言語の違いだけはない.国の文化によって左右されるさまざまなルール.それを知らないがために問題が生じる.海外旅行の感想で多く聞かれるのが,この異文化体験である.
 米国で私が最初に経験した異文化体験は,スーパーマーケットで買い物中のことであった.商品を買い物かごに入れ,レジ列に並んでいると,横の列のお客がいきなりお菓子の袋を開けて食べ始めている.何の躊躇もない.食べきった後は空袋をレジに出して会計.日本では絶対に見られない光景だ.遅かれ早かれお金払うのだから,先に食べても問題はないといったところだろう.しかしながら,その行為を理解することはできなかった.

予防と臨床のはざまで

第32回国際産業衛生学会参加ダイジェスト(その1)

著者: 福田洋

ページ範囲:P.652 - P.652

 2018年4月29日〜5月4日に第32回国際産業衛生学会(ICOH)に参加しました(http://icoh2018.org/2018/).1906年にイタリアで発足した,100年以上の歴史のある産業衛生分野最大の国際学会です.前回2015年のソウル大会に続いて,今回はギネスビールで有名なアイルランドのダブリンで開催されました.市街中心部のThe Temple Barに世界中から観光客が訪れ,夜中(明け方)までバイオリンとギターの陽気な歌声が響く街です.
 学会のテーマは「Occupational Health & Well Being Linking Research to Practice」.グローバル化,人口移動,高齢化,社会心理ストレスの増大など,労働のリスクが大きく変化していく中,働く人の健康を守る両輪となるsafetyとhealthの統合連携がさらに重要になる,そんなメッセージを含むテーマだと思います.初日のオープニングセレモニーは理事長のJukka Takala氏の挨拶から始まり,世界保健機構(WHO),国際労働機関(ILO),欧州連合(EU),アイルランド医師会などの関係機関から次々にお祝いの言葉が述べられました.

映画の時間

—この家族に勇気をもらう—毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル〜最期に死ぬ時.

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.653 - P.653

 ご覧になった方もいらっしゃると思いますが,関口祐加監督が製作し,好評を博した「毎日がアルツハイマー」「毎日がアルツハイマー2」という2本のドキュメンタリー映画があります.今月ご紹介する本作は関口監督によるその続編になります.
 関口監督の母であるひろこさんは2010年に血管性認知症とアルツハイマー病の混合型の痴呆症と診断されました.それまで監督は29年間オーストラリア住まいでしたが,ひろこさんの発症によって,介護のため帰国しました.その介護生活をユーモアたっぷりに描いた1作目が評判となり,2作目では認知症のご本人を介護の中心に置く「パーソン・センタード・ケア」など,認知症ケアの本質に迫りました.3作目で,シリーズ完結編となる本作では,ひろこさんとの長期にわたる介護生活を描きながら,人生の終わり方に迫っていきます.

書籍紹介

看取り請負人—死なせ屋ゴンがゆく フリーアクセス

著者: 板野聡

ページ範囲:P.647 - P.647

 2018年4月,医療保険・介護保険の同時改訂が行われました.高度先進医療や急性期医療を重視するだけでなく,その名称を「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」へと変更し,「国民の希望に応じた看取りの推進」も同等に重要視されることになりました.しかし,そのために必要な人的資源も,経済的資源も圧倒的に不足しているのが現状です.そうした中で,地域に根差し,「より良い看取り」に取り組んでいる医療者たちも,実は少なくありません.ここに登場するゴン先生もそうした医者の一人です.読者の皆様が,「人生の最終段階をどう迎えるのか」を考える上で,本書がその一助となれば幸いです.

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.579 - P.579

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.655 - P.655

あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書 フリーアクセス

著者: 阿彦忠之

ページ範囲:P.656 - P.656

 本誌では以前,2008年(72巻3号)と2013年(77巻10号)にアレルギー関連の特集を組みました.ちょうど5年間隔で企画された3つの特集を読み比べると,アレルギー疾患の予防や治療に関する知見,および患者支援などの施策については最近の5年間の進歩が大きく,新たな動きも多かったことに気付きます.例えば,食物アレルギーの予防面では,原因食品の完全除去から必要最小限除去へ変更がなされました.また,離乳食の開始を遅らせるとよいという考えは否定され,原因食品によってはむしろ早期摂取開始が推奨されているなどの知見が,関連するガイドラインの改訂に反映されています.
 タイミング的には,2014年に制定されたアレルギー疾患対策基本法が,取り組みの促進に少なからず寄与したものと考えられます.一方で,アレルギー診療に関しては,他疾患と比べてガイドラインと医療の現状とのギャップが大きいという指摘がいまだにあるほか,アレルギーに悩む患者・家族の方々から標準治療の普及と医療の均てん化が強く求められています.本特集における各著者が指摘されているように,予防面でも治療面でも課題は山積しており,同法に基づいて厚生労働大臣が策定した「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(2017年3月公表)に基づく重点施策が本格的に実施されるのは2018年度からです.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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