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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生82巻9号

2018年09月発行

文献概要

連載 リレー連載・列島ランナー・114

青森県における地域診断の試み

著者: 大西基喜12

所属機関: 1青森県立保健大学大学院健康科学研究科 保健・医療・福祉政策システム領域 公衆衛生研究室 2青森県健康福祉部

ページ範囲:P.721 - P.725

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はじめに
 青森県(以下,当県)には健康課題が多くあり,その実態を把握し,原因を探ることは重要なテーマとなっています.地域ごとにきめ細かにそれらを把握していく,いわゆる「地域診断」を充実させることは,保健対策を立て,その評価を考えるうえで肝要です.本稿では,当県の担当課が中心となって行ってきた,健康・疾病に関する地域診断の事業を紹介したいと思います.
 健康・疾病に関する地域診断上の数字に表されたデータといえば,死亡率,健診データ,介護保険データ,社会的決定因(social determinants of health:SDH)関連の医療・介護・福祉資源,経済,文化,教育などの種々の社会的指標が代表的ですが,事業を企画した2006(平成18)年ごろは,ごく基礎的な基本健診データ(老人保健事業)も紙で入手し,積んでおくだけという処理をしている市町村もあるという状況でした.これを全県的にデジタルデータで入手し,分析していくということ自体が解決すべき課題でした.
 一方,数字で測れないデータも多く,健康・疾病にも関連の深いソーシャルキャピタルや人々の考え方,文化や素養,風土,伝統,県民性など,質的データはなかなか蓄積・分析されがたい対象でした.身近なところでは,保健従事者の体験で把握される地域のさまざまな情報,保健活動で生じる面談・会議録など,種々の質的データはまとめ方が難しいこともあり,多くは保健師の退職,あるいは個別パソコンの廃棄などとともにほぼ消失していっていました(今もそう事情は変わりませんが).これらを何らかのデータベースに構築するということは保健上の大きな課題に思えました.上記のような量的・質的データについての課題が,本稿で紹介する当県の事業につながっていきました.

参考文献

1)青森県健康福祉部:平成19〜21年度地域保健総合推進事業(衛生部長会)「総合的地域診断手法に関する研究」報告書.2008〜2010
1)厚生労働省 水嶋研究班:健診データ・レセプト分析から見る生活習慣病管理〜医師・保健師・管理栄養士・事務職等の心が動く健診データ・レセプト分析〜.平成19年3月.http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-j.pdf
2)中板育美(分担研究者):平成22年度 地域保健総合推進事業 地域診断から始まる見える保健活動実践推進事業報告書.http://www.jpha.or.jp/sub/pdf/menu04_2_10_all.pdf
3)水嶋春朔:地域診断のすすめ方 根拠に基づく生活習慣病対策と評価,第2版.医学書院,2006
4)平野かよ子:地域特性に応じた保健活動 地域診断から活動計画・評価への協働した取り組み.ライフサイエンスセンター,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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