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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻1号

2019年01月発行

文献概要

特集 人獣共通感染症—獣医衛生領域から見た対策

獣医師の社会的役割と現状

著者: 筒井俊之1

所属機関: 1国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 企画管理部

ページ範囲:P.6 - P.8

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 獣医師の社会的役割を考えるためには,獣医師としての資格がどのような職域で活用されているかを知る必要がある.獣医師の就業状況は獣医師法によって2年に一度,農林水産省に届け出ることが義務付けられており,その詳細が公表されている.それによると,2016年末現在で届出のあった獣医師の総数は約3万9千人であり,うち半数が小動物や産業動物の臨床業務に従事していた1).約1/4は公務員であり,残りの約1/4は製薬会社や飼料会社などの民間企業,大学・研究機関などの法人で働く獣医師や,獣医事に携わっていない有資格者となっていた(図1)1).一般に獣医師の仕事というと,イヌやネコの診療業務をイメージするが,実際にペットの診療を行っている獣医師は全体の4割程度にすぎず,社会が獣医師の専門性に求めるものは,飼育動物の診療にとどまらず,広い職域に及んでいることが分かる.
 本特集が掲げる「人獣共通感染症」への対策においては,特に公務員獣医師が大きな社会的役割を果たしている.2016年現在で9,000人以上の獣医師が国や地方自治体の職員として公衆衛生や農林水産関連の業務に従事している2).公務員のうち国家公務員は全体の数%にすぎず,公務員獣医師の74%は都道府県の職員が占めている.また,残りの20%は市町村職員で,主に政令指定都市などの大都市で公衆衛生に関する業務に従事している.

参考文献

1)農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課:獣医事をめぐる情勢 平成30年1月.http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/attach/pdf/index-4.pdf
2)農林水産省:獣医師の届出状況(獣医師数).http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/zyui/
3)農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課:獣医事をめぐる情勢 平成28年4月.http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/pdf/jyui_meguji.pdf
4)文部科学省高等教育局専門教育課:「今後の獣医学教育の改善・充実方策について」意見のとりまとめの公表について.http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/037/gaiyou/1306201.htm
5)文部科学省:獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議「議論のまとめ」概要.http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/051/gaiyou/1349330.htm

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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