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連載 リレー連載・列島ランナー・118
総合周産期母子医療センター専従の社会福祉士として思うこと
著者: 藤原久子1
所属機関: 1京都第一赤十字病院
ページ範囲:P.69 - P.72
文献購入ページに移動病院にソーシャルワーカーがいるということを初めて知ったのは,私が通っていた大学での特別講義においてです.当時は社会福祉士の国家資格はなく,大学で社会福祉を学んだ者がソーシャルワーカーとして勤務していました.その後,社会福祉士国家資格ができて,私も後から受験して資格を得たという経緯があります.「社会福祉士」というよりは,「医療機関のソーシャルワーカーとして働いていて,社会福祉士資格を取った者」というべきですが,資格のなかった時期の話も出てきますので,以下,「ソーシャルワーカー」という言葉で統一させていただきます.
特別講義は,後に職場の先輩として大変お世話になった方が担当されていました.医療の中に社会福祉の立場から患者さんに関われる職種があり,いかに重要かを生き生きと説いてくださったのです.実家の母が33歳(私は8歳)の時に,乳がんで右の乳房を切除するということがありましたが,これは私にとって物心ついての一番強烈な体験となり,将来はがんの患者さんへの治療などについての支援がしたいと思っていました.しかし,医学部に行くには学力が追い付かず,「看護学部か薬学部などの道に行けたら良いかな」という考えでこれらの学部を受験しましたが,1年目は全て不合格でした.2浪は許さないと実家で言われ,辛うじて受かった,とある大学の社会福祉専攻というところに身を置くことになったのです.医療には程遠いと思われ失望していた時に,特別講義でのソーシャルワーカーとの出会いは強烈でした.
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