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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻10号

2019年10月発行

特集 摂食障害の理解と対応

「摂食障害」の誕生から現在までの変遷—時代と社会の変化が及ぼしてきた臨床像

著者: 山内常生1 切池信夫2

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学 2大阪市立大学

ページ範囲:P.718 - P.723

文献概要

はじめに
 摂食障害,あるいは拒食症や過食症といった病名は今では広く認知されており,身近な病気になった感がある.マスメディアで取り上げられる機会が増えたことも一因で,有名人が摂食障害の既往を告白したり,痩せた姿から拒食症になったのではないかとの噂が飛び交ったりすることも珍しくない.摂食障害が“病気”として登場して以降,その患者数は増えてきた.特に,この半世紀の患者急増は,“特別な人たちの病気”からの一般化を表しているのであろう.疾患としての本質に変わりはないが,疾患の解釈,または患者像はその時代を背景として変化してきた.
 本稿では,摂食障害の現在に至るまでの疾患概念と診断基準の変遷,また,患者を取り巻く社会的変化の影響と臨床像の変化などについて述べる.

参考文献

1)Garner DM, et al(eds):Handbook of treatment for eating disorders, 2nd ed. pp11-24, Guilford Press, 1997
2)下坂幸三:青春期痩症(神經性無食慾症)の精神醫學的研究.精神誌63:1041-1082, 1961
3)Bruch H:Eating Disorders:Obesity, Anorexia Nervosa, And The Person Within. Routledge & Kegan Paul, 1974
4)Nogami Y, et al:On Kibarashi-gui(binge eating). Folia Psychiatr Neurol Jpn 31:294-295, 1977
5)Russell G:Bulimia nervosa:an ominous variant of anorexia nervosa. Psychol Med 9:429-448, 1979
6)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:Dsm-5. American Psychiatric Pub, 2013
7)Raevuori A, et al:A review of eating disorders in males. Curr Opin Psychiatry 27:426-430, 2014
8)厚生労働省:国民健康・栄養調査.https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
9)切池信夫:摂食障害 食べない,食べられない,食べたら止まらない,第2版.pp41-59, 医学書院,2009
10)Guerdjikova AI, et al:Update on Binge Eating Disorder. Med Clin North Am 103:669-680, 2019
11)総務省統計局:労働力調査.https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html
12)山内常生:こんな場合はどうするの? 中高年の摂食障害.精神臨サービス15:519-522,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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