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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻10号

2019年10月発行

文献概要

特集 摂食障害の理解と対応

摂食障害に関わる当事者支援—回復は日常の現場で起きている!

著者: 武田綾1

所属機関: 1特定非営利活動法人のびの会

ページ範囲:P.750 - P.755

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はじめに
 わが国の摂食障害(eating disorder:ED)の歴史は,極端な食事制限と激しい運動によって全身の衰弱をもたらす,「思春期やせ症」と称されていた時から始まった.しかし,今や摂食障害は「思春期」だけでも「やせ症」だけでもなくなっている.それは,近年,摂食障害に関する相談が,臨床現場だけではなく,公衆衛生の現場の一つである保健所や保健センターにも寄せられていることからもうかがえる.
 西園ら1)が全国の保健所や保健センターで実施した摂食障害についての調査では,相談事例の約半数が未受診か治療中断,40歳以上が18%,10年以上の罹病期間が22%であった.これは,対象が早期の治療的介入の機会に失敗したまま慢性化し,高齢化したことを示している.地域での精神保健相談で受ける精神疾患の処遇困難例と言っても過言ではない.

参考文献

1)西園マーハ文(分担研究者):厚生労働科学研究費補助金 障害者政策総合研究事業(精神障害分野)「摂食障害の診療体制整備に関する研究」分担研究報告書 地域保健の場における摂食障害の対応に関する実態調査に関する研究.pp59-62, 2017 https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201616020B
2)西澤章弘,他:摂食障害と知的機能.臨精医33:77-87,2004
3)鈴木健二,他:精神科作業所における摂食障害のソーシャルスキル 統合失調症との比較.精神医45:145-151,2003
4)松木邦裕:摂食障害というこころ 創られた悲劇/築かれた閉塞.新曜社,2008
5)Edward J. Khantzian, et al:Understanding Addiction as Self Medication:Finding Hope Behind the Pain. Rowman & Littlefield Pub Inc, 2008 和訳:松本俊彦(訳):人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション.星和書店,2013
6)武田綾:摂食障害の社会復帰援助.西園マーハ文(編):専門医のための精神科リュミエール28 摂食障害の治療.中山書店,pp175-185, 2010
7)西園文:生活しながら治す摂食障害.女子栄養大学出版部.2004
8)瀧井正人:摂食障害という生き方 その病態と治療.中外医学社.2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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