icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻11号

2019年11月発行

文献概要

特集 歯科口腔保健をどう進めるか

市町村における母子歯科保健対策の推進

著者: 髙澤みどり1

所属機関: 1市原市子ども未来部子育てネウボラセンターネウボラ第2係

ページ範囲:P.794 - P.799

文献購入ページに移動
はじめに
自治体の歯科保健活動の多くを占める母子歯科保健
 母子保健法に基づき,全国の市区町村では母子歯科健康診査や各種相談事業が行われている.歯科衛生士を配置する都道府県,市区町村は必ずしも多くなく,上記のような事業に当たっては,保健師や管理栄養士が歯科保健事業を担当することが多い1).歯科衛生士を配置していない自治体にとっても,常勤での配置が多い地域での事例は参考になると考えられる.千葉県は市町村に勤務する常勤歯科衛生士が多い自治体の一つである.2019年4月1日現在,千葉県内の54市町村のうち37市町(68.5%)に101名の常勤歯科衛生士が配置されている.
 歯科保健事業はライフステージ別に実施されるが,2017年の千葉県内市町村のライフステージ別の歯科保健事業実施市町村数は,妊産婦対象が37(68.5%),1歳未満対象が45(83.3%),1〜4歳対象が全54市町村(100%),保育園などが42(77.8%),小中学校が40(74.1%)であり,母子歯科保健事業の実施率は高い.一方,成人や高齢者に目を向けると40歳未満を対象とした事業は32(59.3%),40歳以上は35(64.8%),要介護者13(24.1%),介護予防一次予防事業26(48.1%),一般介護予防事業11(20.4%)であり,成人期以降は必ずしも多くの市町村で事業が実施されているわけではない2).市原市(当市)においては,5人の常勤歯科衛生士のうち4人が子育てネウボラセンターに配属されており,母子歯科保健事業を担当している.子育てネウボラセンターでは保健師,管理栄養士,歯科衛生士などによる妊娠・出産から子育てまでの切れ目のない相談支援を行っている.
 少子高齢社会を迎えた現在においても,市区町村の歯科保健事業において母子歯科保健事業の占める割合は高い状況にある.本稿では,広く伝統的に展開されている母子歯科保健事業について全国調査から見えてきた実態を紹介し,それを自治体において多職種によって実施する意義を述べる.

参考文献

1)安藤雄一,髙澤みどり,他,橘とも子(研究代表者):行政の歯科保健担当者のプロフィールと業務実態等に関する全国調査結果.厚生労働科学研究費補助金健康安全・危機管理対策総合研究事業「質の高いサービスを提供するための地域保健行政従事者の系統的な人材育成に関する研究」(H24-危機-一般-001)平成25年度報告.2014
2)千葉県健康福祉部:令和元年度千葉県の市町村歯科衛生士の配置状況について 平成31年4月1日現在.2019
3)厚生労働省:母子歯科健康診査および保健指導に関する実施要領.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1207&dataType=1&pageNo=1
4)厚生労働省:「健やか親子21」最終評価報告書について.https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000030389.html
5)厚生労働省:健やか親子21(第2次)ホームページ.http://sukoyaka21.jp
6)丸山進一郎,髙澤みどり,他:母子歯科健診および相談事業の実施に関する全国調査.山崎嘉久(研究代表者):母子歯科健診および相談事業の実施に関する全国調査.厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究」(H24-次世代-指定-007)平成25年度総括・分担研究報告.2014
7)丸山進一郎,髙澤みどり,他,山崎嘉久(研究代表者):第2報母子歯科健診および相談事業の実施に関する全国調査(市区町村の人口規模別による分析).厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究」(H24-次世代-指定-007)平成26年度総括・分担研究報告.2015
8)国立保健医療科学院:市販されている子ども向けフッ素入り歯みがき剤の数々.https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/document/shizuoka_shitajiki.pdf
9)国立育成医療研究センター:乳幼児健康診査事業実践ガイド.平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 乳幼児健康診査のための「保健指導マニュアル(仮称)」及び「身体診察マニュアル(仮称)」作成に関する調査研究.2018 https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/guide.pdf
10)厚生労働科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業.乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究班:標準的な乳幼児期の健康診査と保健指導に関する手引き〜「健やか親子21(第2次)」の達成に向けて〜.2015 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/tebiki.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら