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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻2号

2019年02月発行

文献概要

特集 インバウンドと在留外国人—その増加と諸課題

訪日外国人旅行者への医療対応の現状と今後の展望

著者: 岡村世里奈12

所属機関: 1国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野 2国際医療福祉大学大学院医療通訳・国際医療マネジメント分野

ページ範囲:P.102 - P.106

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訪日外国人旅行者の医療機関の受診状況
 近年,政府のインバウンド(inbound:訪日旅行)戦略を背景として,日本を訪問する外国人旅行者が急増している.図11)に,訪日外国人旅行者数の推移を示す.2013年に1,030万人程度であったものが,2017年には2,860万人に達するなど,直近5年間で約3倍近くも増加している1).図22)は,都道府県別・国籍別の外国人旅行者の延べ宿泊者数を示したものであるが,この図からも分かるとおり,最近は訪日外国人旅行者の多国籍化が進んでおり,また,都市部だけではなく地方に滞在する訪日外国人旅行者が増えている.
 こうした傾向を背景として,近年は,都市部や主要観光都市だけではなく,地方の医療機関においても訪日外国人旅行者の(緊急の)医療受診が増えている.この点に関する正確な統計データはないが,例えば,厚生労働省が2017年に全国の救急告示病院を対象として実施した「医療機関医おける外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」3)では,アンケートに回答した1,710医療機関のうち,外来では41.6%(712機関),入院では24.6%(421機関)の医療機関が訪日外国人旅行者患者の受け入れ実績があると回答しており,訪日外国人旅行者患者の受け入れが決して珍しいものではないことが分かる.2020年に東京オリンピックを控えていること,また,政府が外国人観光客の目標人数を2020年に4,000万人,2030年に6,000万人としていることを鑑みれば(図1),医療機関を受診する訪日外国人旅行者患者の数も今後,ますます増加することが予想される.

参考文献

1)日本政府観光局(JNTO):統計データ(訪日外国人・出国日本人) 訪日外客数の動向.https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/index.html
2)観光庁:「宿泊旅行統計調査(平成30年5月・第2次速報,6月第1次速報)及び(平成29年年間値(確定値))」.2018年7月.宿泊旅行統計調査(平成30年5月・第2次速報,6月第1次速報)及び(平成29年年間値(確定値))
3)厚生労働省:「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173230.html
4)内閣官房健康・医療戦略推進本部:訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ:第2回 訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ 「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策(案)」.https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/kokusaitenkai/gaikokujin_wg_dai2/gijisidai.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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