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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生83巻3号

2019年03月発行

雑誌目次

特集 公衆衛生の実践倫理

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著者: 瀧澤利行

ページ範囲:P.171 - P.171

 近年の公衆衛生学では,個人情報保護や疫学研究に関する倫理指針の制定・改定など,プライバシーや人権保護に関する基準の厳格化が進んでいる.一方で,健康の社会的格差の是正についての国際的動向の中で,社会経済的な要因などを背景とした「健康格差」が公衆衛生上の大きな課題となっている.健康格差には,その拡大要因としての倫理的課題(倫理的にみて不公正な要因による格差など)があり,また,その是正に向けた政策推進においても実践的な倫理的課題が多い.学校保健や環境保健,産業保健の領域においても,健康診断の項目のあり方,ヒトとヒト以外の生物の生態系保護の課題,長時間労働やこれに対する「働き方改革」など,これまで明確に意識されていなかった健康に関する実践倫理的課題が提起されている.公衆衛生実践をより人間本位の活動として成熟させていくためにも,そうした課題について,可及的速やかに理論的・実践的な検討を行う必要が生じている.
 本特集は,公衆衛生の各領域において今日新たに対応が求められている実践倫理的な問題を解説することを目的にして企画した.公衆衛生活動において配慮を要するべき実践的倫理的諸課題について,第一線に立つ研究者が論点を整理し,対応を論じることによって公衆衛生活動における関心の喚起を図っている.本特集で扱われる諸課題は,即座に解決ができるようなシンプルな構造のものではない.ステークホルダーが長期にわたってそれぞれの立場と相反する立場の意見を理解しながら,その時点での最適解を求めて議論すべき課題といえる.

公衆衛生における実践倫理—公衆衛生の倫理学とその諸課題

著者: 児玉聡

ページ範囲:P.172 - P.176

はじめに
 近年,公衆衛生の分野では,公衆衛生の倫理に関する実践と研究の重要性がうたわれるようになっている.本稿では公衆衛生の倫理学の動向を概観する.最初に,公衆衛生の射程の問題を説明する.次に,なぜ今,公衆衛生の倫理学が問題となっているのか,そして,主要な倫理的課題にはどのようなものがあるのか,主要な倫理的アプローチはどのようなものかについて論じる.

健康管理・疾病予防政策における倫理的課題

著者: 齋藤信也

ページ範囲:P.178 - P.183

はじめに
 公衆衛生における倫理的課題は,非常に単純化すれば,医師-患者関係における「自己決定権」を最優先する医療倫理の基本原則が,公衆の利益を目的とする公衆衛生的介入と衝突する場面で生じることが多い.
 ことさら政治哲学や法哲学といった学問的基礎によらずとも,個人の権利と公益の調整は社会に求められる必然的課題といえるが,こと人の健康や生命を扱う保健医療の分野ではこの二つの利益(個人vs.社会)の対立が先鋭になりがちである.
 さらには,生命倫理学の普及に伴う医療倫理学上の原則の転換が,この問題に大きな影響を及ぼしている.すなわち,以前は患者の最善の利益(best interest)を求めることが医療の最大の目的であった.この点では,公衆衛生が目指すもの(集団の健康利益の最大化)と医療の目的は合致しており,両者の差はその主たる介入法が予防か治療かということにすぎないともいえた.
 ところが,生命倫理の4原則の一つである自律(自己決定)を最優先し,患者が納得したうえで,自分で自分が受ける治療を決めるというインフォームド・コンセント(informed consent)の理念が医療現場で急速に浸透すると,患者にとって,きっと良いと思われる治療法を患者が選択しない自由を認めることが医療倫理の大原則となってきた.つまり,いくら本人にとって良い(と思われる)介入だからといって,本人の同意のないものは行えないというのが医療の基本であり,それを逸脱して行われる治療はパターナリズム(paternalism)のそしりを免れないだけでなく,違法となる恐れが強い.
 これに対して,公衆衛生分野ではそもそもその目的そのものが公衆の健康の維持・向上であることから,その強度はさておき,パターナリズム的発想を避けて通ることは困難である.もちろん,公衆衛生においても,インフォームド・コンセントが基本原則であることは間違いないが,その原則を侵してでも対応せざるを得ないものが公衆衛生の現場には存在するという現実は直視しなければならない.それでは,そうした強制が許されるのはどのような場合か,別の言い方をすれば公衆衛生的要請を拒否した個人を論難する倫理的根拠はなにかを検討するのが本稿の目的である.
 そこで最初に,健康管理・疾病予防政策における倫理的課題の象徴的な例として,ワクチン接種の強制とその拒否の問題について考える.まず,わが国における予防接種制度の歴史について簡単に振り返ってみることとする.

健康格差の是正—公衆衛生倫理の視点で考える

著者: 井上まり子

ページ範囲:P.184 - P.189

はじめに—健康格差とは
 人々の健康度には差がある.地域や社会経済状況の違いによる集団の健康状態の差を「健康格差」という.社会疫学の研究から,所得階層,教育,職位などが高水準にあるほど疾病罹患率や死亡率が低いことなどが知られている1).日本では近藤2)らによる日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)が代表的な研究であり,これによると,高齢者のうつ発症や主観的健康感の悪さ,健診の低受診率などが低所得者層でみられる.今日では英国や米国はもとより,日本でも健康格差の存在は疑う余地がない.
 健康格差の存在が明確になるにしたがって,それに対する介入が考え始められている.「健康日本21(第二次)」3)の目標として「都道府県別の平均寿命の差にみられる地域の差の是正」が採用された.健康格差とその是正は公衆衛生の一般的話題になり始めている.

学校保健安全活動における実践倫理的課題—学習権保障と健康権保障の関係から

著者: 瀧澤利行

ページ範囲:P.190 - P.195

学校保健安全活動の実践倫理的基盤
歴史的位相から
 わが国における今日の学校保健安全活動は,客観的な事象としては,学校における幼児,児童生徒,学生および教職員に対する健康・安全の保持増進活動と捉えることができる.また,それは公衆衛生活動の学校教育領域における展開としての性格を有するとともに,保健安全的配慮に基づく学校教育の展開としての性格をも有している.つまり,公衆衛生活動の一環として理解できるとともに,明確な教育活動としても捉えることができる.
 上記のことは,一見すると何ら矛盾のない整合的な関係を持つ活動と見なすこともできるが,わが国における学校保健安全活動の成立過程をたどりつつこの問題を考えてみると,そこにはある種の緊張関係と実践的課題があり,それらは単に活動の現象面にとどまらず,実践倫理的課題を内包し続けてきたことを見いだし得る.

産業保健における実践倫理

著者: 藤野昭宏

ページ範囲:P.196 - P.201

はじめに
 産業保健は,職場の衛生管理と働く人の心身の健康確保を目的として,産業医,産業看護職(看護師・保健師),衛生管理者および安全衛生スタッフなどの企業内の産業保健チームによって業務が遂行されている.ILO(International Labour Organization)とWHO(World Health Organization)の合同委員会によれば,①全ての職業における労働者の身体的,精神的および社会的健康を最高度に維持,増進させること,②労働条件に起因する健康からの逸脱を予防すること,③雇用中の労働者を健康に不利な条件から起因する危険から保護すること,④労働者の生理学的,心理学的能力に適合する職業環境に労働者を配置し維持すること,が産業保健の目標とされている(1950年に採択).作業を人間に,また,人間を仕事に適合させることがその基本理念である.1999年の第87回ILO総会において「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の概念が初めて用いられ,ILOの活動の主目標と位置付けられた.
 本稿では,産業保健における実践倫理について,労働安全衛生法などの法的枠組みを基礎としながら,①安全配慮義務と守秘義務,②両立支援・職場復帰における情報共有,③障害者に対する職場における合理的配慮,の3つの観点から述べる.

感染症対策における防除と環境倫理

著者: 梅﨑昌裕 ,   苅田香苗

ページ範囲:P.202 - P.207

雑草,害虫,害獣,害鳥の起源
1.生態系の構造
 感染症対策におけるペスト・コントロール(pest control.媒介生物の駆除事業)に関わる倫理的な問題を考えるに当たって,まずは生態系の成り立ちについての基本的な話から始めたい.地球上の生物の中で,有機物を生産する役割は主に植物が担っている.植物は太陽エネルギーを使って水と大気中の二酸化炭素から炭水化物を合成し,その過程で生じた酸素を大気中に放出する.植物は植食動物の餌となり,植食動物は肉食動物の餌となる.したがって,生態学では植物を生産者,動物を消費者と分類する.一方,植物や動物の遺体を分解して無機物に戻す役割を担うのが細菌・菌類などであり,分解者と呼ばれる.生産者によって固定された太陽エネルギーは捕食-被食関係によって生態系の中を流れ,物質は捕食-被食関係を通じて生態系の中を循環する(図1).
 一般的に生態系の中では,膨大な種数の生物が捕食-被食関係によって網の目のようにつながっており(食物網という),同じような餌および生存環境をめぐって複数の生物種が競合関係にある.生物多様性の高い生態系,言い換えれば多くの生物種が含まれる生態系には,外的な圧力あるいは変化に対する強いレジリエンス(resilience.自然回復力)が備わっているのが普通である.

精神保健における実践倫理的課題—安全な社会を目指して

著者: 大西香代子

ページ範囲:P.208 - P.213

はじめに
 住民の安全,公共の福祉は,それぞれに違う人々の一人一人が大事にされることなしに成立しない.何らかの事件が起きたとき,その容疑者に精神科通院歴のあることが報道されると,事件と精神疾患が関連しているものと思われやすい.実際には,検挙された刑法犯のうち,精神科通院歴のない(そして精神疾患でもない)人が98.2%1)と圧倒的に多いが,通院歴がない場合,そのことは報道されない.本当に,精神障害が疑われる人を病院に収容することで社会の安全は保つことができるのだろうか.
 強制的入院の見直しの契機となったのが2016年の相模原障害者施設殺傷事件(神奈川県相模原市にある知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に元施設職員の男が侵入し,所持していた刃物で入所者19人を刺殺し,入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた事件)であるが,この「犯行を説明する精神病理は不明確」2)である.本稿では,まず本事件の犯人の「この人(入所者)たちは本当に幸せだと思うか」という問いを取り上げたい.障碍の有無や程度が幸せかどうかを決めるわけではない.それは,障碍のない人が必ずしも幸せとはいえないことからも容易に理解できる.しかし,「職員として働く彼の目には,入所者の姿が幸せそうに映らなかった」3)ことは確かだろう.これは,知的障碍に限らない.退院のあてもなく病院に「収容」されている精神障碍者も同様である.
 次いで,精神疾患による事件をきっかけに再燃した社会の安全と強制的な入院について述べる.最後に,認知症者の交通事故を取り上げ,認知機能検査によって交通の安全が図れるのかについても検討する.
 なお,「障碍」の表記については,「障害」が他者に害をなすイメージがあるとして拒否的な当事者も多い.そこで「障がい」と記されることもよくあるが,かえって読みにくく,筆者の好みではない.「障碍」は障害と同様の意味があり,また,元来用いられていた表記であるため,本稿ではこの表記を用いる.

アディクションと公衆衛生の倫理

著者: 森田展彰

ページ範囲:P.214 - P.220

はじめに
 飲酒や薬物などの嗜好品,ギャンブルなどの趣味・習慣は,本来は自由に楽しめるものである.しかし,その程度や頻度が過剰な場合には深刻な健康障害や心理社会的障害を引き起こす.以前は「酒乱」や「ジャンキー」など意志薄弱などの人格的な問題として扱われていたが,近年は「依存症」というコントール障害であると考えられるようになり,治療・相談が行われるようになってきた.しかし,まだ十分といえない状況である.
 例えば,アルコール依存症の場合,厚労省の研究班による調査1)によれば,患者は113万人であるのに対して,治療を受けている人は約4万人であり2),大きなギャップがある.薬物に関しては,覚せい剤や大麻はその所持や使用を犯罪として取り締まる方法で社会的にコントールしようとしてきたが,収監された受刑者の6割以上が再犯をしており,あらためて,処罰よりも治療や回復支援が必要であることが指摘されている3).ギャンブルについては,わが国はカジノの導入を進めており,ギャンブルを良いレクリエーションとして用いようとする人々と,ギャンブルへの依存症が増えることへの懸念から反対する人々の間で議論が生じている.なお,カジノが話題となっている一方,実はパチンコの依存症がすでに大きな問題になりながらも治療や相談体制が十分でなかったことも明らかになっている.
 現在は多様な楽しみを求める時代であり,個人の嗜好にあった飲食や趣味を楽しむ権利を保障しつつ,それがもたらすリスクについて,どのように対応していくかが,あらためて問われている.上述のように依存症対策は進められているが,十分な支援にたどり着いている事例は一部にすぎないため,公衆衛生的な対策や,依存症になる前の予防啓発が重要であると思われる4)
 本稿では,あらためてアディクション(addiction. 嗜癖)の基本的な理解を確認したうえで,その予防・治療を進めるために,いかにこの問題に対する社会的な認識を高めていくべきかを論じた.

遺伝情報と地域保健—倫理とリテラシー

著者: 玉井真理子

ページ範囲:P.221 - P.225

遺伝情報は究極の個人情報か
 遺伝情報は「究極の個人情報」といわれてきた.その起源が厳密にどこにあるのか,寡聞にして筆者の知るところではないが,少なくとも筆者が臨床心理士として遺伝医療に関わるようになった1990年代の半ばにはすでに,そのような言説が,いわばキャッチコピー的に語られ始めていたと記憶している.当時,理由として挙げられていたのは,次のようなことである.

視点

今,行政で医師に求められていること—もっと頑張らなあかん

著者: 島田秀和

ページ範囲:P.168 - P.169

はじめに
 私は卒後,行政勤務の道を選び,機会に恵まれていろいろな経験させていただいた.今回,本稿の執筆依頼を受けて,これまでの業務で関わった方々から学んできたことを振り返った.また,行政で医師に求められていること(もっと頑張らなあかんこと)を,自分なりに考えてみた.

連載 睡眠と健康を考える・5

子どもの睡眠

著者: 大岡忠生 ,   山縣然太朗

ページ範囲:P.226 - P.229

はじめに
 睡眠は全ての年代における健康の重要な決定因子である.ことに子どもの睡眠については,現在の健康のみならず,その後の生涯の健康に影響するため,特に慎重な対策が望まれる.メディアやICT(information and communication technology)が普及し,社会全体の生活スタイルが変化したこともあって,日本全体における睡眠時間は年々,減少傾向にある1).このような社会背景の中で,子どもの睡眠はどのように変化しており,今後,どのような対策が必要なのだろうか.
 本稿では,近年の国内外の研究や,われわれが取り組んでいる研究を踏まえ,①子どもの睡眠の現状,②成長・発達に対する睡眠の影響,③小児の睡眠を阻害する要因,④子どもによくみられる睡眠障害,⑤今後,望まれる対策や展望について概説する.

ヘルスコミュニケーションと健康な社会づくりを考える Dr.エビーナの激レア欧州体験より・7

—外国人患者家族としてのスコットランド体験と学び・その4—フライトのリスクと服薬指導—退院と帰国に向けて

著者: 蝦名玲子

ページ範囲:P.230 - P.233

 前回は,2017年のスコットランド旅行中に,私の母が大腿骨を骨折してエディンバラ王立病院に入院し,人工股関節全置換術の手術後に肺血栓塞栓症を発症した時のヘルスコミュニケーションとリハビリテーション(以下,リハビリ)について述べました.今回は,帰国のフライトのリスクとガイドライン,入院生活で感じたホスピタリティの真髄,退院時の服薬指導についてリポートします.

Coda de Musica 心に響く音楽療法 Ancora・2

地域と音楽療法

著者: 三道ひかり

ページ範囲:P.234 - P.237

近くの他人,遠くの親戚
 2018年夏,日本各地で自然災害が多発した.連日の高温,台風の多発,豪雨,そして地震.一人で街を歩いている時,旅行中,仕事中など,いつどこで遭遇するか分からないのが災害だ.そんなとき,頼るべきは自分の家族・親戚ではなく,全く会ったことがない他人かもしれない.知らない者同士が協力して,生きて生活を立て直すことを目標にしていく.物資を分け合い,情報を共有し,励まし合いながら復興を進めていく.遠方の親戚からの支援に心を温めながら,ご近所・地域の方々と共に力を合わせて進み,時間とともに家族以上の関係を築いていく.友達や家族とは異なる,コミュニティーとのつながり.コミュニティーが一体となるためには何が必要となるのだろうか.

リレー連載・列島ランナー・120

多職種連携で母子を支える—「もう一人産みたくなる日本」を目指して

著者: 西村美津子

ページ範囲:P.239 - P.241

助産師になりたい
 私が助産師になりたいと思ったのは,看護師として働き始めて2年目の時でした.三交代勤務の激務の中,自分は本当にこんな仕事がしたかったのか,と自問自答するようになりました.ある日,脳裏に浮かんだのは,看護学校の実習で,心から感動したお産の風景でした.「助産師になりたい」と思い,突然の方向転換でしたが,猛勉強の末,京都府立医科大学附属看護専門学校助産学科(現 京都府立医科大学看護学部)に入学しました.勉強漬けの毎日と10例の分娩介助を経験した後,無事に助産師国家試験に合格し,晴れて助産師としての一歩を踏み出しました.

予防と臨床のはざまで

予防医療医の冬2019—カーリングから落語まで

著者: 福田洋

ページ範囲:P.242 - P.242

 「そだねー」の流行語大賞受賞で一世を風靡したカーリング.「そだねー」は2018年平昌五輪で日本カーリング史上初の銅メダルを獲得したチームLS北見(ロコ・ソラーレ)の試合中の北海道弁ですが,北海道出身としては,この懐かしいイントネーションはうれしい限りです.五輪の後,アプリをダウンロードしてしまうほどカーリングにかぶれた私ですが,札幌でそのカーリングを体験できるということで,2018年10月上旬に,札幌市・月寒にある「どうぎんカーリングスタジアム」に行ってきました.聞くところによると,五輪直後は大人気で全く予約が取れなかったということです.やっとブームが少し落ち着いた頃,産業医業務で伺っているワコール札幌店のフタッフの皆さんとご一緒させていただきました.
 1時間の体験コースをお願いしたのですが,まず,リンクに立てません!片足だけテフロン加工されたつるつるに滑る靴を履くのですが,氷上に立っているのがやっとです.安全のためにヘルメットを着用しましたが,2回も尻もちをついてしまいました.次にストーンを投げる練習.これも距離感が全くつかめず,短すぎたり長すぎたり,的となるハウスに入れるのは至難の技です.最後に2チームに分かれ,リンクを半分だけ使ってミニゲーム風にストーンを投げあい,「ヤー! ヤー!」などと言いながら,スウィーパー(ブラシ)を使ったスイープも体験しました.たった1時間でも,太ももがパンパンになるほどで,テレビで見るのとは大違いです.カーリングの凄さを実感した体験コースとなりました.

映画の時間

—豪華絢爛な王室を舞台に巻き起こる三大女優の競演による究極の宮廷ドラマ—女王陛下のお気に入り

著者: 桜山豊夫

ページ範囲:P.243 - P.243

 現在,EU離脱に揺れる英国ですが,今月は18世紀初頭に君臨したアン女王をめぐる映画をご紹介します.
 スペイン継承戦争でフランスと争っていたイングランドは,総司令官であるモールバラ公爵の活躍によってブレンハイムの戦いで大勝利を収めました.アン女王と,女官長でモールバラ公爵夫人のサラが,王宮で勝利を祝うシーンからこの映画は始まります.女王とサラは幼なじみでもあるようで,女王はサラのために宮殿を建てることを約束します.冒頭でアン女王と女官長サラの親密な関係を一気に描く鮮やかな演出です.

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ページ範囲:P.167 - P.167

書評 フリーアクセス

ページ範囲:P.238 - P.238

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ページ範囲:P.245 - P.245

あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書 フリーアクセス

著者: 阿彦忠之

ページ範囲:P.246 - P.246

 本誌は,公衆衛生の実践に役立つ研究や活動報告などの情報提供に力を入れておりますが,公衆衛生の実践倫理をテーマとした特集は今回が初めてだと思います.本特集の企画にご尽力いただいた瀧澤利行先生に感謝申し上げます.
 医療倫理学や生命倫理学などと比べて,公衆衛生の倫理学の認知度は低く,その研究領域が注目されるようになったのは21世紀になってからということです.私自身も知識に乏しく,公衆衛生倫理で脳裏に浮かぶのは,虫歯予防を目的とした水道水へのフッ化物添加や予防接種制度の変更(義務接種から勧奨接種への見直し)をめぐる議論など,限られたものでした.しかし,本特集を通読し,公衆衛生に関する政策形成のプロセスにおいては,幅広い視点から倫理的な課題を抽出し,適切な政策決定に向けて慎重に議論しなければならない場面が多いことをあらためて痛感したところです.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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