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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 企業経営と公衆衛生の接点

企業の社会的責任からCSR,そしてCSVへ—公害問題から価値創造へ

著者: 國部克彦1 増子和起1

所属機関: 1神戸大学大学院経営学研究科

ページ範囲:P.257 - P.261

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はじめに
 企業と社会をめぐる問題の領域では,最近では,CSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任),ESG(environment, social and governance:環境,社会,ガバナンス),CSV(creating shared value:共有価値の創造),SDGs(sustainable development goals:持続可能な開発目標)のように3文字のアルファベットがあふれている.これは,企業と社会の関係が欧米主導のコンセプトでリードされていることの表れである.しかし,かつては公害問題や労働争議のように,日本語で問題が特定化されていた時代もあった.
 現在でも環境問題や人権問題あるいは格差拡大など,具体的な社会問題は,多く存在している.しかし,上記のアルファベットの略語で示される抽象的な世界で議論されていることとは問題の本質を異にする.本稿では,最近の50年ほどのタイムスパンで企業と社会をめぐる問題の歴史を振り返り,さらに将来を展望する.なお,「公衆衛生」誌の性質を考慮して,最近,注目されている健康経営の動向にも言及する.

参考文献

1)所伸之:企業活動と環境問題:2つの視点からのアプローチ.所伸之(編著):環境経営とイノベーション 経済と環境の調和を求めて.pp.1-18,文眞堂,2017
2)谷本寛治:日本企業のCSR経営.千倉書房,2014
3)Commission of the European Communities:GREEN PAPER:Promoting a European framework for corporate social responsibility. http://www.europa.eu/rapid/press-release_DOC-01-9_en.pdf
4)Global Sustainable Investment Alliance:Global Sustainable Investment Review. http://www.gsi-alliance.org/wp-content/uploads/2017/03/GSIR_Review2016.F.pdf
5)國部克彦:CSRとガバナンス.國部克彦,他(編著):CSRの基礎 企業と社会の新しいあり方.pp3-21,中央経済社,2017
6)Porter M, et al:Creating Shared Value. Harvard Business Review 62-77, 2011
7)European Commission:Communication from the commission to the european parliament, the council, the european economic and social committee and the committee of the regions A renewed EU strategy 2011-14 for corporate social responsibility. https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/ae5ada03-0dc3-48f8-9a32-0460e65ba7ed/language-en
8)國部克彦:責任が価値を生み出すことは可能か—CSRとCSV再考.Business Insight 26:2-8, 2018 http://www.b.kobe-u.ac.jp/~kokubu/data/論文データ/責任が価値を生み出すことは可能か.pdf
9)國部克彦:アカウンタビリティから経営倫理へ 経済を超えるために.有斐閣,2017
10)経済産業省ヘルスケア産業課:健康経営の推進について.http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/180710kenkoukeiei-gaiyou.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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