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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻4号

2019年04月発行

文献概要

特集 企業経営と公衆衛生の接点

地域高齢者を支えるコンビニエンスストア—地域包括ケアシステムにおける協働を目指した取り組み

著者: 五十嵐歩12 山本則子12

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 高齢者在宅長期ケア看護学分野 2東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 緩和ケア看護学分野

ページ範囲:P.268 - P.273

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高齢者を支えるコンビニエンスストア
 現代,われわれの生活に不可欠になっているともいえるコンビニエンスストア(以下,コンビニ)は,高齢者にとっても身近な存在になっている.現在,日本全国に5万店舗以上のコンビニがあり,高齢者人口の38%がいずれかのコンビニから300m以内の距離に居住している1).特に都市部においてその割合は高まっており,例えば,東京23区においては高齢者の85%以上がコンビニから300m圏内に居住している.過去の調査から,多くの高齢者がコンビニを利用している実態が明らかになっており,例えば,65〜79歳の高齢者のうち男性で約半数,女性で約3割が週に1回以上コンビニを利用しているといった結果が示されている2)
 日本の高齢化の進行や世帯構成の変化の状況も踏まえて,コンビニ各社は高齢者を重要な顧客と捉えており,彼・彼女らをターゲットにしたサービスを展開している1).具体的には,高齢者向け食品の充実や宅配サービス,移動販売車,高齢者の居場所としてのイートインスペースの設置,介護に関する相談窓口を併設した「介護コンビニ」などであり,その内容は幅広い.

参考文献

1)竹本遼太:コンビニ難民 小売店から「ライフライン」へ.中央公論新社,2016
2)リサーチ・アンド・ディベロプメント:シニアならではのコンビニ利用実態とは? 「ちょうどよいサイズ感」と「品質」がシニアの心をつかむ〜生活者総合ライフスタイル調査システム『CORE』より〜.https://www.rad.co.jp/report_list/20150706/
3)Matsumoto H, et al:Association between Japanese neighborhood convenience stores and independent living in older people. Australas J Ageing 00:1-8, 2019
4)日本フランチャイズチェーン協会:平成29年度版(2017年度版) コンビニエンスストア セーフティステーション活動 アンケートリポート.http://ss.jfa-fc.or.jp/folder/top/img/n_201805231535583hy6y6nxenc1zn47.pdf
5)Nakamura Y, et al:Impact of support agreement between municipalities and convenience store chain companies on store staff's support activities for older adults. Health Policy 122:1377-1383, 2018
6)五十嵐歩,他:訪問介護サービスを利用する高齢者のコンビニエンスストア利用の実態 コンビニエンスストアが生活支援の役割を果たしている事例に関する質問紙調査.老年社会科学40:283-291, 2018
7)五十嵐歩,他:在宅認知症高齢者のコンビニエンスストア利用に関する1事例の検討 地域包括ケアにおける協働の推進に向けて.日老医誌 53(Suppl.):150-151, 2016
8)練馬区:ねりまコンビニ協働プロジェクト.https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/kuseisanka/kyodosuisin/chiikiokosiproject/project_zisshi/happyoukai.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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