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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻6号

2019年06月発行

文献概要

特集 学校における子どもの健康課題

日本における学校保健の変遷と今後の展望

著者: 瀧澤利行1

所属機関: 1茨城大学教育学部教育保健教室

ページ範囲:P.416 - P.422

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学校保健の基本的な考え方
 学校保健とは,幼児,児童生徒,学生および学校に勤務する教職員の健康を保持・増進し,健康を通じて豊かな人間形成を図るために主として学校でなされる活動の総体をいう.学校保健を主に子どもや青年の健康と,発達に関わる営みとして考えると,大きく分けて二つの機能を有している1).一つは,日本国憲法で定めた国民の「健康で文化的な」生活を営む権利を保障する上で国に課せられた責務である「公衆衛生の向上および増進」の一環として,幼児,児童生徒,学生の心身の健康を保持増進する機能(公衆衛生的機能)である.もう一つは,その学校において集団の健康を保持増進する過程を通じて,自己あるいは集団が自立的存在として主体形成・集団形成していく機能(教育保健的機能)である.
 本稿では,日本における学校保健の変遷と今後の展望について,上記の二つの機能がどのように関連してきたのか,また,学校保健が子ども・青年の健康をどのように支えてきたかを中心にして述べる.

参考文献

1)瀧澤利行(編):新版 基礎から学ぶ学校保健 第2版.p2,建帛社,2017
2)梅原秀元:健康な子どもと健康な学校 19世紀から20世紀初頭におけるドイツの学校衛生の歴史研究をめぐって.三田学会誌108:71-95, 2015
3)瀧澤利行:学校衛生(学校保健)の成立と学校看護.瀧澤利行,他:雑誌「養護」の時代と世界 学校の中で学校看護婦はどう生きたか.pp11-16,大空社,2015
4)瀧澤利行:学校保健の沿革.衞藤隆,他(編):学校保健マニュアル 改訂9版,pp230-204,南山堂,2017
5)三島通良:学校衛生事項取調復命書摘要.文部省普通学務局,1893
6)日本学校保健会八十年史編纂委員会(編):日本学校保健会八十年史.日本学校保健会,2010
7)田辺信太郎,他:「健康教育」の概念に関する一考察 —昭和10年代前半の文献を中心として—,東京大学教育学部紀要23:241-264, 1983
8)七木田文彦:健康教育教科「保健科」成立の政策形成 —均質的健康空間の生成.学術出版会,2010
9)School Health Education Study:A Summary Report, The Samuel Bronfman Foundation, New York, 1964
10)森昭三:新体育学大系 55 健康教育学.逍遙書院,1967
11)小倉学:健康教育への提言.教育151, 1962
12)小倉学(編):小学校保健教育の計画と実践 教育内容の科学化をめざして.ぎょうせい,1977
13)小倉学(編):中学校保健教育の計画と実践 保健教育の現代化をめざして.ぎょうせい,1981
14)森昭三,他(編著):保健の授業づくり入門.大修館書店,1987
15)保健教材研究会(編):「授業書」方式による保健の授業.大修館書店,1987
16)JKYB研究会,他(編):「健康教育とライフスキル学習」理論と方法.明治図書出版,1996
1)文部省(編):学校保健百年史.第一法規出版,1973
2)日本学校保健会:「学校保健の歴史」(1)(2)(3).https://www.gakkohoken.jp/column/archives/category/other

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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