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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生83巻9号

2019年09月発行

文献概要

連載 リレー連載・列島ランナー・126

屋内完全禁煙の飲食店を応援したい—煙らない美味しい飲食店紹介サイト「ケムラン」

著者: 伊藤ゆり1

所属機関: 1大阪医科大学研究支援センター医療統計室

ページ範囲:P.701 - P.705

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はじめに
 改正健康増進法1)と東京都受動喫煙防止条例2)(以下,都条例)によって2020年4月に飲食店における受動喫煙規制が始まる.東京都のみならず,いくつかの自治体も独自に受動喫煙防止条例を制定している.しかしながら,改正健康増進法,都条例ともに全面的な屋内禁煙を求めているわけではない.従業員の有無や敷地面積などによる条件設定,喫煙専用室の設置,加熱式たばこの容認など,国際標準である「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」3)を緩和した内容となっている.いずれにせよ,労働衛生の観点からも,法や条例の対象外の飲食店においても自主的な屋内完全禁煙の実現が期待されている.
 東京都による受動喫煙に関する都民の意識調査(2017年)によれば,都民が受動喫煙を経験する場所としては,路上の83.7%に次いで飲食店が77.3%と屋内施設では最も高かった4).日本医療政策機構の調査によれば,飲食店を選ぶ際に喫煙可の店を避ける人は58.1%であり,利用客自体が禁煙の飲食店を選ぶ傾向が高くなっている5).一方で,禁煙の対策が取れないのは,客離れや売り上げの減少を理由とした飲食店が約半数あった6)(これは飲食店への調査).
 民間の調査によれば,喫煙可能から禁煙に移行した店舗は増加傾向にある7).それによって店の売り上げに「特に変化がなかった」と回答したのは60%で,売り上げが増えたと回答したのは12%であった.禁煙に踏み切ろうか悩んでいる飲食店には,禁煙に移行できた他店の成功体験を共有することが重要である.

参考文献

1)e-Gov:健康増進法(平成十四年法律第百三号).https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=414AC0000000103
2)東京都福祉保健局:東京都受動喫煙防止条例.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/tokyo/kangaekata_public.html
3)外務省:たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO Framework Convention on Tobacco Control:FCTC).https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/who/fctc.html
4)東京都福祉保健局:平成29年度「受動喫煙に関する都民の意識調査」結果について.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/kitsuen/sanko/citizen/conclusion29.html
5)日本医療政策機構:【調査報告】「2018年 日本の医療に関する世論調査」.https://hgpi.org/research/hc-survey-2018.html
6)東京都福祉保健局:平成29年度「飲食店における受動喫煙防止対策実態調査」結果について.http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/kitsuen/sanko/insyokutentaisaku/conclusion29.html
7)クックビズ総研:都内飲食店の全面禁煙化に賛成派5割! 飲食店の意識調査レポート.https://cookbiz.jp/soken/news/inshokuten_nonsmoking/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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