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著者: 高鳥毛敏雄
所属機関:
ページ範囲:P.712 - P.712
文献購入ページに移動ヘルスサービスリサーチの今後を理解するには,英国と日本の保健医療領域のデータの位置付けの違いを理解する必要があります.英国の社会サービスの起源は救貧法とされています.救貧法は貧困者数が増大した19世紀には維持できなくなり,財政圧縮が必要となって,大きな政治問題となりました.その副産物として産み出されたのが公衆衛生制度といえます.そのため,英国の公衆衛生には,その出発時点から,死亡や疾病の衛生統計を整備して社会の支持を得る必要がありました.今でも,英国の公衆衛生の責任者の最も重要な業務は,ヘルスデータをまとめてレポートを作成・公表することとされています.第二次世界大戦後,医療サービスを国営の病院(NHS)が提供することとなり,税金を財源とした制度となりました.そのため,医療サービスの有効性や効率性を評価・公表・改善することが求められるようになりました.1990年代にはNHSが独立行政法人化され,サービスの効率性と質の向上を図ることを一層強く求められるようになっています.
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