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連載 世界に届け! Boshi-Techo・3
UNRWAの母子手帳とその応用—難民におけるmHealth
著者: 北村尭子12
所属機関: 1世界銀行本部保健・栄養・人口グローバルプラクティス 2元 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ヨルダン本部保健局
ページ範囲:P.54 - P.59
文献購入ページに移動情報のデジタル化が進んだことによって近年.グローバルヘルスの領域でもさまざまな変革が起きている.2018年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)のうち,健康に関連する指標を向上させる技術として「デジタルヘルス」の活用を宣言した1).また,2019年には,デジタルヘルスによって人々が質の高い保健医療サービスへ垣根なくアクセスできるようになること,そして,その結果としてSDGsが達成されることを国際社会全体で目指し,「Global Strategy on Digital Health」を発表している2).
デジタルヘルスとは,携帯電話,タブレット,インターネットなどを介したヘルスケアを指し,遠隔診断や人口知能(artificial intelligence:AI)による予後予測などもこの概念に含まれる3).中でもスマートフォンなどを利用したモバイルヘルス(mobile health:mHealth)と呼ばれる分野は,アクセシビリティ,費用対効果,有効性の観点から,世界でその意義を認識されつつある4).
国際連合パレスチナ難民救済事業機関(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East:UNRWA.ウンルワ)は上記のような近年のトレンドに乗り,パレスチナ難民の医療データのデジタル化,そしてmHealthの導入に取り組んできた.本稿では,UNRWAの母子手帳と,そのモバイルアプリケーションへの変遷を紹介する.
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