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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生84巻11号

2020年11月発行

文献概要

連載 リレー連載・列島ランナー・140

つながり続けること—ひきこもり相談のコツ

著者: 藤井早希子1

所属機関: 1島根県立心と体の相談センター(島根県ひきこもり支援センター)

ページ範囲:P.749 - P.752

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はじめに
 2019年3月に内閣府から40〜64歳までのひきこもりの数が推計61.3万人1)という調査結果が発表された.2015年9月に実施した調査では15〜39歳までのひきこもりの数が推計54.1万人2)と発表されているので,調査年度が異なるため単純な合計はできないにしても,推計約100万人以上がひきこもっているということになる.100万人以上というのはインパクトのある数値であり,「ひきこもり」がより社会的に注目されることになった.
 島根県では,2015(平成27)年にひきこもり支援の中核を担う「島根県ひきこもり支援センター」(以下,当センター)を開設した.徐々に相談件数は増え,今では年間延べ500件前後の相談を受けている.
 当センターでは,ひきこもりの支援は,厚生労働省3)が示している「ひきこもり支援の諸段階」(図1)に沿って施行しているが,第1段階である家族相談のケースが半数以上である.「ひきこもり」の相談なので,なかなか本人が登場する第2段階に上がることができないのが現状である.
 ただ,長年勤務していると,「来ないだろう」と思っていた本人が突然来所してくれることがある.また,急に医療機関等の他機関に足を運ぶことがある.そこに至るには,何年も家族面接を続ける必要があった.継続面接をしている過程で,家族が「あまり意味がない」と感じ面接を中断したり,支援員としても「今日は何を話したらいいのだろう」と行き詰まる場面があった.それでも,さまざまな工夫を凝らし家族相談を継続していくことで,成果が上がっていることを実感している.以下は,「つながり続けること」に焦点を当てて,当センターの取り組みについてお伝えしたい.

参考文献

1)内閣府:生活状況に関する調査,平成31年3月.https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/list.html
2)内閣府:若者の生活に関する調査報告書,平成28年9月.https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/h27/pdf-index.html
3)厚生労働省:ひきこもりの支援・評価に関するガイドライン,2010
4)斎藤環:「ひきこもり」救出マニュアル(実践編).pp16-45,ちくま文庫,2014
5)Robert J Meyers, et al:Get Your Loved One Sober:Alternatives to Nagging, Pleading, and Threatening. Hazelden Publishing, Minnesota, 2004
6)境泉洋,他:CRAFT ひきこもりの家族支援ワークブック—若者がやる気になるために家族ができること.pp77-118,金剛出版,2013
7)島根県:島根県ひきこもりセンター 資料〈島根県版適応行動チェックリスト〉,2018 https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/kokoro_kenko/seisinn_soudann_annnai/hikikomori.data/checklistHP.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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