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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生84巻12号

2020年12月発行

文献概要

特集 2030年に向けたHIV/AIDS対策

薬物使用者を支える地域づくり—ハームリダクションに依拠した薬物使用者の支援

著者: 松本俊彦12

所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 2国立精神・神経医療研究センター病院・薬物依存症センター

ページ範囲:P.801 - P.806

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【ポイント】
◆ハームリダクションとは,薬物の使用量ではなく,薬物使用による個人・社会に対する「ダメージ」の量を低減する方策であるが,薬物に対する規制強化・厳罰化がもたらす最大のハームは,薬物使用者の孤立(つながりの喪失)である.
◆HIV診療・相談対応において薬物使用者と出会った場合,まずは,現在の治療・相談関係を「安心して覚せい剤のことを話し合える場」として継続することを優先し,その都度,本人のニーズに沿った支援を提供する必要がある.
◆薬物使用者を支える地域づくりを実現するには,従来の,薬物使用者に対する差別や偏見を助長する予防啓発の在り方を再考しなければならない.

参考文献

1)Global Commission on Drug Policy:War on Drugs:Report of the Global Commission on Drug Policy. https://www.globalcommissionondrugs.org/wp-content/uploads/2017/10/GCDP_WaronDrugs_EN.pdf
Marlatt GA, et al(ed):Harm Reduction, Second Edition:Pragmatic Strategies for Managing High Risk Behaviors. pp.3-35, The Guilford Press, New York, 2011
3)Khantzian EJ:The self-medication hypothesis of addictive disorders:focus on heroin and cocaine dependence. Am J Psychiatry 142:1259-1264, 1985
4)United Nations Office on Drugs and Crime:World Drug Report 2016. https://www.unodc.org/doc/wdr2016/WORLD_DRUG_REPORT_2016_web.pdf
5)法務省:平成30年版 犯罪白書.http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/mokuji.html
6)Hazama K, et al:Factors associated with drug-related recidivism among paroled amphetamine-type stimulant users in Japan. Asian J Criminol 15:109-122, 2020
7)United Nations Office on Drug and Crime:World Drug Report2013. https://www.unodc.org/unodc/secured/wdr/wdr2013/World_Drug_Report_2013.pdf
8)United Nations Office on Drug and Crime:World Drug Report2016. https://www.unodc.org/doc/wdr2016/WORLD_DRUG_REPORT_2016_web.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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