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連載 今さら知らないといえない 科学技術イノベーション—iPS,AIを説明できますか・7
ロボット介護機器とそれを取り巻く課題
著者: 中田はる佳1
所属機関: 1国立がん研究センター社会と健康研究センター生命倫理・医事法研究部
ページ範囲:P.823 - P.826
文献購入ページに移動近年,さまざまな場面で「ロボット」と呼ばれるものを目にするようになった.例えば,床掃除用の「ロボット掃除機」や,犬の形状をした「ペットロボット」など,家庭内にも導入されている.医療・介護などの分野でも「ロボット」の導入や普及が進められており,本稿では特に介護ロボットに関連する課題を概観する.
まず「ロボット」とはどのようなものを指すのか確認しておこう.厚生労働省によれば,「ロボット」の定義は「3つの要素技術を有する,知能化したシステム」とされる1).3つの要素技術とは,情報を感知するセンサー系,判断する知能・制御系,動作する駆動系を指す.このロボット技術が応用され,利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器が「介護ロボット(ロボット介護機器)」である.例えば,介助者が移乗を行う際のパワーアシスト(動作における力の補助)や,高齢者などが外出した際に,荷物を安全に運べる歩行アシストカート,認知症の方の見守りのためのセンサーなどが挙げられる.また,ロボット開発当初の目的が介護利用ではなかったとしても,介護に活用した場合はロボット介護機器に含むと考えられている2).これらの例からも分かるように,介護ロボットは介護をする側(介護者)に対する支援と,介護を受ける側(被介護者)に対する支援との両方を対象としている.被介護者の自立を促すことに加えて,被介護者にとってより効果的な介護になること,また,介護者の負担を軽減することが目的とされる.
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