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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生84巻5号

2020年05月発行

文献概要

連載 リレー連載・列島ランナー・134

死別の困難に応じられる地域社会をつくる試み

著者: 山崎浩司1

所属機関: 1信州大学医学部保健学科

ページ範囲:P.335 - P.338

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はじめに
 筆者は,自分が暮らす信州地方を,死別の困難に対して少しでも共感的で支援的な地域社会にしたいと願い,有志市民や学生とともに,2012年からさまざまな活動に取り組んできた.断っておくと,死別の困難に直面する人々に対して,信州が特に冷たいわけではない.日本社会全体が,死別の苦しみに対して十分に支援的であるとは言い難いのである.これは,例えば英国スコットランドのように,死別ケアについて明確な指針が公的に示され1),政府とNHS(National Health Service)と民間の支援団体が協働して,死別の困難に対する支援を要する全ての国民に国を挙げて対応しようとしている社会と比べたときの筆者の実感である.
 本稿では,筆者がメンバーである市民団体「ケア集団ハートビート」(以下,ハートビート,筆者ら.URL:https://www.hbshinshu.com)の取り組みを中心に,死別の困難に応じられる地域社会をつくる試みについて述べる.なお,その取り組みを単に紹介するのではなく,それぞれから行政や医療専門職が市民との協働を模索する際のヒントを少しでも提供できるように論述したい.

参考文献

1)The Scottish Government:Shaping bereavement care—a framework for action. https://www.sehd.scot.nhs.uk/mels/CEL2011_09.pdf
2)ハートビート:大切な人を亡くしたとき〜長野県・中信地方版〜,第2版.https://7ea73777-b510-4841-b685-89d8d7b88a48.filesusr.com/ugd/822067_0a2f343bd5d04955b1396fcc26989453.pdf
3)NHS Scotland:When someone has died—information for you. https://www.nhsinform.scot/media/1503/when-someone-has-died-2016.pdf
4)ハートビート:ニューズレター第3号.p3, 2018 https://7ea73777-b510-4841-b685-89d8d7b88a48.filesusr.com/ugd/822067_c2c60d2eeb094f2480948e74676e757e.pdf
5)香取一昭,他:ワールド・カフェから始める地域コミュニティづくり.p3,学芸出版社,2017
6)山崎浩司:共感の倫理に根ざしたまちづくり 松本地方における地域協働的な死別体験者支援モデル構築の実践.いのちの未来2:106-119, 2017
7)松本経済新聞:「デスカフェ信州」松本で初開催 若い世代も「死」について考え,話す場に.2019年12月2日.https://matsumoto.keizai.biz/headline/2984/
8)世田谷区:世田谷区グリーフサポート事業.https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/011/d00145872.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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