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著者: 高鳥毛敏雄
所属機関:
ページ範囲:P.420 - P.420
文献購入ページに移動本号の編集中に新型コロナウイルス感染症の流行が始まり,パンデミックになるに至っています.歴史をたどってみると,19世紀のコレラのパンデミックが公衆衛生制度の生みの親とされています.その頃はコレラ菌が発見されておらず,治療薬もなく,検疫でも流行を制御できませんでした.そのため,衛生当局と国民が力を合わせた衛生対策に取り組む体制をつくる必要が生じて近代の公衆衛生が誕生したとされています.現在,新型コロナウイルス感染症に対してのワクチンや治療薬剤はありません.病院医療だけでは対応できず,まさに,かつてのコレラパンデミックと同じ状況に立たされています.コレラのパンデミックには,19世紀に蒸気船が登場し,国際化・グローバル化が革命的に進展したことが影響しています.新型コロナウイルスは,格安航空会社(LCC)を含めた航空機の大衆化・高速化によって多数の人々が短時間に国境を超えて移動する21世紀の社会の特徴から広がったものといえます.
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