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特集 病気の治療と仕事の両立支援—キャリアをあきらめないために
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著者: 森晃爾1
所属機関: 1産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学研究室
ページ範囲:P.5 - P.5
しかし,「病気の状態」×「仕事の内容」の組み合わせは無数に存在するため,細かい基準を決めても現実に応用することはできません.そこで,病気の治療と仕事の両立支援においては,本人の働く意欲と意思を尊重し,企業等の組織および仕事の実態に合わせて,病気や治療などの医療情報を参考に,個別的な支援が必要となります.また,両立支援の対象となる病気の治療をしながら働く人は,職場では労働者であり,医療機関では患者であり,家庭や地域では家族や住民であるといったように,各場面において異なる立場があり,職場,医療機関,家庭・地域のそれぞれの場面において支援するだけでは十分ではなく,その連携が必要となります.そこで,それぞれの場面の資源を充実させるとともに,各場面において支援を行う場合には,他の場面の取り組みや資源の理解を促進しなければなりません.ここ数年の取り組みによって,治療と仕事の両立支援について,徐々に支援のための資源が充実し,多くの好事例も生み出されていますが,職場や地域のよって支援の実態には格差が存在します.
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