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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生85巻11号

2021年11月発行

文献概要

連載 クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション・9

コロナ慣れや脳が疲れている人へは「ナッジ」で対応

著者: 蝦名玲子

所属機関:

ページ範囲:P.772 - P.776

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はじめに
 先月号では,専門家と市民とはリスクアセスメントが異なることや,リスク認知によって反応が変わることをお伝えした.今回の新型コロナパンデミックは,その長期化から,いわゆる「コロナ慣れ」が起きてしまい,市民が脅威に対して警戒心を持たなくなってしまった.そのような状況でリスクを伝えたところで,なかなか聞く耳を持ってもらえない.さらに,危機下では脳が疲れやすく,注意も散漫になりがちになる1)
 そこで,今月号では,そうしたコロナ慣れした人や脳が疲れている人に予防行動を取ってもらうために役立ちそうな,注意を喚起させたり,気付かせたり,控えめに警告したりし,人々の行動をより良いものにするように誘導する「ナッジ(nudge)」について紹介しよう.

参考文献

1)蝦名玲子:クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション(CERC):危機下において人々の命と健康を守るための原則と戦略.大修館書店,2020
2)リチャード・セイラー,他(著),遠藤真美(訳):実践行動経済学.日経BP社,2009
3)環境省ナッジPT(プラチナ):ナッジ等の行動インサイトの活用を通じた行動変容の促進について.令和元年12月26日 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/renrakukai14/mat_02-1-1.pdf
4)The Behavioural Insights Team:EAST Four simple ways to apply behavioural insights. http://www.behaviouralinsights.co.uk/wp-content/uploads/2015/07/BIT-Publication-EAST_FA_WEB.pdf
5)Judah G, et al:Experimental pretesting of hand-washing interventions in a natural setting. Am J Public Health 99 Suppl 2:S405-11, 2009
6)Milkman KL, et al:Using implementation intentions prompts to enhance influenza vaccination rates. Proc Natl Acad Sci U S A 108:10415-10420, 2011
7)Alter AL, et al:Uniting the Tribes of Fluency to Form a Metacognitive Nation. Personality and Social Psychology Review 13:219-235, 2009 https://web.archive.org/web/20160426075912/ http://pages.stern.nyu.edu/~aalter/tribes.pdf
8)日本経済新聞:患者情報すぐに共有,ミス防止 香川県の医療機関で.2021年6月29日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC287TH0Y1A620C2000000/
9)東京都福祉保健局:新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について.https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/coronasodan.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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