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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生85巻12号

2021年12月発行

文献概要

特集 健康問題の解決のための経済学—ナッジ等の可能性を探る

ナッジで進める健康づくり—効果的・持続的なものとするためのポイントと注意点

著者: 近藤尚己1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会疫学分野

ページ範囲:P.792 - P.797

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【ポイント】
◆ナッジは「環境デザイン」のアプローチ.トリックで個人をだます戦略ではない.活動の透明性と民主的な議論が必要.
◆ナッジは合理的な選択をしづらい状況にある人を支援するために使うべき.誰もが自然と健康的な選択ができる環境づくりで,健康格差を是正しよう.
◆ナッジの取り組み一つずつの効果は大きくなく,持続しづらい.マーケティングの枠組みとコミュニティーの組織化,そしてPDCAサイクルを基本としたマネジメントにより,人々をナッジし続けるシステムをつくることが大切.

参考文献

1)厚生労働省:明日から使えるナッジ理論(企画・制作 株式会社キャンサースキャン) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000506624.pdf
2)リチャード・セイラー,他:実践行動経済学(原題:Nudge:Improving decisions about health, wealth, and happiness).日経BP社,2009
3)近藤尚己:健康格差対策の進め方—効果をもたらす5つの視点.医学書院,2016
4)Wataru Nagatomo, et al:Effectiveness of a low-value financial-incentive program for increasing vegetable-rich restaurant meal selection and reducing socioeconomic inequality:a cluster crossover trial. Int J Behav Nutr Phys Act 16:81, 2019 https://ijbnpa.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12966-019-0830-5
5)松村真:仕掛学—人を動かうアイデアの作り方.東洋経済新報社,2016
6)板谷祥奈,他:「ひじでつつく」ナッジ,「そそる」仕掛け.第3回仕掛学研究会,2018
7)Mullainathan S:Scarcity:Why Having Too Little Means So Much. Henry Holt and Company, New York, 2013
8)ナンシー・R・リー,他(著),木原雅子,他(訳):ソーシャルマーケティング:行動変容の科学とアートー環境,安全,環境保護,省資源分野等への応用の最前線(原著:Lee and Kotler:Social marketing:behabior change for social good, 6th edition. 2019). MEDSi(メディカル・サイエンス・インターナショナル),2021
9)Haseda M, et al:Effectiveness of community organizing interventions on social activities among older residents in Japan:A JAGES quasi-experimental study. Soc Sci Med 240:112527, 2019
10)Minkler M:Community Organizing and Community Building for Health and Welfare 3rd eds. Rutgers University Press. London, 2912

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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