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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生85巻12号

2021年12月発行

文献概要

連載 クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション・10

ワクチン・コミュニケーションから考える心理的反発を防ぐ方法

著者: 蝦名玲子

所属機関:

ページ範囲:P.850 - P.854

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はじめに
 先月号では,注意を喚起させたり,気付かせたり,控えめに警告したりし,人々の行動をより良いものにするように誘導する「ナッジ」について紹介した.
 現在,新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)のワクチン接種が進められ,2021年9月13日時点で,すでに国民の5割以上が2回接種を完了したが1),このワクチン・コミュニケーションでも,ナッジは活用されていた.メディアは日々,多くの人々がワクチンを接種する様を報道し,首相官邸もホームページ2)で総接種回数や接種率を実績として公表しているが,これらは,社会規範に従うという人の特性を利用したナッジといえる.
 しかし,こうしたナッジに,逆に反発を覚える人もいる.そうした人に,今後,どうアプローチしていけばいいのか?

参考文献

1)日本経済新聞:ワクチン接種2回完了,人口の5割超に 高齢者9割迫る.2021年9月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA093NF0Z00C21A9000000/
2)首相官邸:新型コロナワクチンについて.https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
3)Brehm JW:A theory of psychological reactance. Academic Press, New York, 1966
4)吉川肇子:リスク・コミュニケーション.今田高俊,他(編):社会生活からみたリスク.p138,岩波書店,2013
5)Petersen MB, et al:Transparent communication about negative features of COVID-19 vaccines decreases acceptance but increases trust. Proc Natl Acad Sci USA 118:e2024597118, 2021
6)武藤香織,他:リスクコミュニケーションで皆が望む社会をめざす.週刊医学界新聞,第3417号(通常号).2021年4月19日
7)吉川肇子(編著):健康リスク・コミュニケーションの手引き.ナカニシヤ出版,2009
8)Covello VT, et al:Risk Communication, Risk Statistics, and Risk Comparisons:A manual for Plant Managers. Chemical Manufacturers Association. Washington, D.C., 1989
9)蝦名玲子:リスク認知と認知のパターン別コミュニケーション.公衆衛生 85:691-696, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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