公衆衛生85巻5号

2021年05月発行

特集 多様化する環境問題に挑む—ポストコロナ，気候変動，電磁環境，海洋MP汚染など

イノベーションによる地球温暖化問題の解決

著者： 杉山大志¹

所属機関： ¹キヤノングローバル戦略研究所

ページ範囲：P.297 - P.302

【ポイント】
◆日本政府は地球温暖化問題をイノベーションによって解決するとしている．この具体的な実施の在り方に日本の温暖化対策の成否が懸かっている．
◆日本には裾野の広い製造業基盤がある．この活発な活動を促すことで地球温暖化問題の解決に貢献できる．
◆高コストな温暖化対策の拙速な規模拡大は日本経済を衰退させ，温暖化対策技術を含むあらゆるイノベーションを阻害するので逆効果になる．

参考文献

1)首相官邸：革新的環境イノベーション戦略．統合イノベーション戦略推進会議決定，令和2年1月21日　https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/kankyousenryaku2020.pdf

2)経済産業省：グリーンイノベーション戦略推進会議 兼 グリーンイノベーション戦略推進会議ワーキンググループ　https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/index.html

3)経済産業省，他：グリーンイノベーション戦略推進会議について．https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/001_01_00.pdf

4)経済産業省：脱炭素社会に向けた対策の考え方(第3回グリーンイノベーション戦略推進会議資料)，2020年11月　https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/gi_003_03_04.pdf

5)経済産業省：第2回　グリーンイノベーション戦略推進会議—資料4-1　プロジェクト・アウトルック(令和3年度革新的環境イノベーション関連予算)．2020年10月13日　https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/gi_002.html

6)経済産業省：日本の研究開発費総額の推移．https://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon/a17_3_1.pdf

7)杉山大志：地球温暖化とは何か—イノベーション，経済成長，環境技術．エレクトロヒート 224:50-57, 2019　https://cigs.canon/article/pdf/190315_sugiyama.pdf

8)キャノングローバル戦略研究所：メディア掲載 エネルギー・環境【合理的環境主義者の視点】太陽光発電のコストが下がった理由は何か？(杉山大志)．https://cigs.canon/article/20190219_5585.html

9)日本エネルギー経済研究所：LED照明の省電力ポテンシャル(IEEJ5月掲載)．https://eneken.ieej.or.jp/data/3862.pdf

10)ミュラー(著)，松本　裕(翻訳)：測りすぎ：なぜパフォーマンス評価は失敗するのか．みすず書房，2019

11)杉山大志：地球温暖化問題の探究—リスクを見極め，イノベーションで解決する．デジタルパブリッシングサービス，2018

12)キャノングローバル戦略研究所：レポー　エネルギー・環境【研究ノート】エネルギー政策のコスト：原子力，石炭火力，洋上風力(杉山大志)．https://cigs.canon/article/20200930_5394.html

ゼロのコストは国家予算に匹敵する(杉山大志)．http://agora-web.jp/archives/2048975.html

14)杉山大志：4章3「政治的に正しい」温暖化研究への懸念，コロナ後における　合理的な温暖化対策のあり方．The Canon Institute for Global Studies(キヤノングローバル戦略研究所)　https://cigs.canon/article/pdf/wp20200626.pdf