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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生86巻1号

2022年01月発行

文献概要

新・視点

コロナ禍での公衆衛生—“Go to the People”ができない時に

著者: 河津里沙1

所属機関: 1公益財団法人結核予防会結核研究所入国前結核スクリーニング精度管理センター

ページ範囲:P.76 - P.77

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はじめに:公衆衛生と“Go to the people”
 Go to the people——これは近現代中国の郷村建設運動の指導者、晏陽初(あんようしょ)による運動のモットーである。それが記されている詩の一節を紹介したい。
 Go to the people(人々の中へ行き、)
 live among them(人々と共に住み、)
 love them(人々を愛し、)
 learn from them(人々から学びなさい、)
 start with what they know(人々が知っていることから始め、)
 build on what they have.(人々が持っているものの上に築くのだ。)1)
 公衆衛生とは、一般的には「地域社会の人々の健康の保持や増進をはかり、疾病を予防すること」と考えられているであろうか。しかし、筆者から言わせれば、公衆衛生とは「(自分一人の健康に気を付けていればよいものを)赤の他人の生活に首を突っ込もうとする、究極のお節介行動にすぎない」のだ。例えば適度な運動、バランスの取れた食事や禁煙なんぞは、人々にとっては最も優先度が低いことかもしれない。それでもあなたはその人々に健康で豊かな人生を送ってほしい、という信念のもと、公衆衛生活動に従事しているのではないだろうか。だからこそ、公衆衛生においても“Go to the People”が必要といえる。人々が何を大切と思い生活しているか、それを人々の中に分け入って肌で感じ取り、理解し、受け入れて、初めて彼らと「彼らにとっての健康とは何か」について対話ができるのだ。

参考文献

1)栄恩栄(編),鎌田文彦(訳):晏陽初 その平民教育と郷村建設.農山漁村文化協会,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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