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予防と臨床のはざまで
第18回日本ヘルスプロモーション学会参加記
著者: 福田洋1
所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座
ページ範囲:P.298 - P.298
文献購入ページに移動初日は、開会式に続いて湯浅先生の大会長講演「ヘルスプロモーションの原点回帰」から始まりました。湯浅先生は今までのご経験から、「ヘルスプロモーションには理念の顔、実践の顔、科学の顔、政策の顔、スピリチュアルな顔の5つの顔がある」と話され、医学部卒業後の保健所・地域でのまちづくり活動や、国際協力機構(Japan International Cooperation Agency: JICA)の専門家として赴いたフィリピン、ブラジル、ボリビア、タイなどでの国際保健活動などの多彩なご経験を踏まえて、プライマリヘルスケアとヘルスプロモーションの関連や相違点、まちづくりの実践、エビデンス作り、持続可能な政策としてのヘルスプロモーションについて解説されました。特にスピリチュアルな顔については、アンデス地方の住民との会話から、ヘルスプロモーションの究極の目的が健康ではなく、より良く生きること(Well-being)であり、人生に意味付けを与えるスピリチュアルヘルスに大いに関与するという話は、大変ふに落ちました。職域でも健康経営の上位概念として、Well-being経営なる用語も使われ始めており、私にとってもタイムリーな話題でした。世界の多くの国の国際保健に従事した湯浅先生らしいご講演で、信じられないような絶景に佇む若き湯浅先生が、ヘルスプロモーションと世界中の人々の健康に思いをはせる姿に非常に感銘を受けました。
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