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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻1号

2023年01月発行

文献概要

連載 All about 日本のワクチン・1【新連載】

風疹含有ワクチン—成人を中心に

著者: 森野紗衣子1

所属機関: 1国立感染症研究所感染症疫学センター予防接種部門

ページ範囲:P.60 - P.64

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1.当該疾患の発生動向
 風疹は、発熱、全身性の小紅斑や紅色丘疹、リンパ節腫脹を3主徴とする。感染症発生動向調査1)では2008年から5類感染症全数報告対象疾患に位置付けられ、臨床診断例、検査診断例ともに届出対象とされている。図12)に示されるように、過去10年間にも2回の大きな国内流行が見られた。2012〜2014年の風疹患者報告数は1万7千人を超え、2018〜2019年においても5千人以上となった。さらに、45人、6人の先天性風疹症候群の児の報告がなされた。近年の風疹流行では成人男性患者の報告数が多い。2019年の報告の94%は成人(年齢中央値:男性40歳、女性30歳)で、男女比は約3.6:1であった。また、風疹含有ワクチン接種歴は「接種歴なし」、「不明」がおのおの21%、70%と多くを占めた。なお、届け出時点で3主徴すべてがそろって報告されたのは51%と、必ずしも3主徴がそろわない症例も多い3)
 2020年以降2022年10月現在、新型コロナウイルス感染症の流行とその対策、人流抑制の影響を受け、国内の風疹患者報告数は少ない状況で推移しているが(2022年第1〜37週報告数10人)2)、世界では2022年になって過去2年間に比べ風疹報告数の増加が示されている4)

参考文献

1)厚生労働省:感染症発生動向調査について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115283.html(2022年10月6日閲覧)
2)国立感染症研究所:感染症発生動向調査風疹速報グラフ. https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html(2022年10月6日閲覧)
3)国立感染症研究所感染症疫学センター:風疹流行に関する緊急情報:2020年1月8日現在. https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/2020/rubella200108.pdf(2022年10月6日閲覧)
4)World Health Organization: Provisional monthly measles and rubella data. https://www.who.int/teams/immunization-vaccines-and-biologicals/immunization-analysis-and-insights/surveillance/monitoring/provisional-monthly-measles-and-rubella-data(2022年10月6日閲覧)
5)日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会:日本小児科学会キャッチアップスケジュール.2021年7月19日 https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=18(2022年10月6日閲覧)
6)厚生労働省:定期の予防接種実施者数. https://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/5.html(2022年10月6日閲覧)
7)国立感染症研究所感染症疫学センター:麻しん風しん定期予防接種実施状況の調査結果. https://www.niid.go.jp/niid/ja/measles-vac.html(2022年10月6日閲覧)
8)World Health Organization: Rubella vaccines: WHO position paper - July 2020. Weekly Epidemiological Record, 2020, vol. 95, 27. 2020年7月3日 https://www.who.int/publications/i/item/WHO-WER9527
9)国立感染症研究所:感染症流行予測調査グラフ. https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/667-yosoku-graph.html(2022年11月15日閲覧)
10)国立感染症研究所感染症疫学センター.風疹に関する疫学情報:2022年7月27日現在. https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/2022/rubella220727.pdf(2022年10月6日閲覧)
11)World Health Organization. Measles and rubella strategic framework: 2021-2030. 2020年11月8日 https://www.who.int/publications/i/item/measles-and-rubella-strategic-framework-2021-2030(2022年10月6日閲覧)
12)厚生労働省:風しんに関する特定感染症予防指針.2014(平成26)年3月28日 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000186690.pdf(2022年10月6日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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