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特集 エビデンスに基づく公衆衛生とヘルスサービスリサーチ—保健医療介護サービスの振り返りと向上のためのデータ利活用
Editorial—今月号の特集について フリーアクセス
著者: 田宮菜奈子12
所属機関: 1筑波大学医学医療系 2筑波大学ヘルスサービス開発研究センター
ページ範囲:P.977 - P.977
しかし、超高齢社会にあり、適切な医療・介護への資源配分が喫緊の課題となっている現在、わが国の医療・介護のDX化が近年急速に進み、推進の追い風になってきた。一方、欧米諸国ではさらにデータの利活用が進められ、近年EU(欧州連合)では、その利活用が「公衆衛生に関する公益」である場合には、個人の同意なしでもデータを活用しうるという方向が明確に打ち出されている。そして、その文脈において、「公衆衛生とは、健康に関する全ての要素を含むべきである。それらは、すなわち、疾病罹患や障害を含む健康状態、健康状態に影響を与える要因、医療のニーズ、医療に割り当てられる資源、医療の提供および医療へのユニバーサルアクセス、医療の支出および財源、そして、死亡の原因である」(EU一般データ保護規則「GDPR」前文より。筆者翻訳)とされており、従来の公衆衛生の定義より広く、サービス提供状況や、アクセス、費用など、HSRの要素を多く含んでいる。今こそ、データ利活用が進み始めたわが国の「公衆衛生」という枠組みの中で、HSRを改めて位置付けることが重要であろうと考える。
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