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連載 保健行政のためのデータサイエンス・8【最終回】
「中間人材」を生かしてデータサイエンスを保健活動に生かす
著者: 杉山雄大12
所属機関: 1筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 2国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター
ページ範囲:P.1034 - P.1037
文献購入ページに移動はじめに筆者自身のキャリアを振り返る。キャリアの早期、糖尿病・内分泌の臨床医としてのトレーニングを積んでいた頃までは、行政での保健活動についてほとんどイメージできていなかった。しかし、内科医が大学院に行くと基礎研究を行うのが主流であった中、よりマクロな視点から医療の改善に貢献したいという漠然とした思いがあり、社会医学の博士課程に進み、海外の公衆衛生大学院に留学した。これらの学びの機会を通じて、自らの行いたかったことがヘルスサービスリサーチとして言語化され、その適用範囲が医療だけでなく、保健活動や、高齢者の介護福祉活動なども含まれることを知った。それ以降、臨床と社会の接点を担うヘルスサービス研究者として、国立国際医療研究センターにおいて糖尿病関連の医療政策研究・ヘルスサービスリサーチを行っている。また、2018年より、筑波大学のクロスアポイントメント教員として、大学生・大学院生への教育、ヘルスサービスリサーチの研究指導を行い、さらに茨城県、つくば市などでの事業のお手伝いをしている。
臨床医との臨床研究や疫学研究、地方自治体の事業、国の医療政策に資するための厚生労働科学研究などに従事する中で、コミュニケーションする相手は違っても、データで課題とその解決策を示すことで認識を共有して次の手だてにつなげることができることを経験し、データの持つ力を実感している。一方で、丁寧なコミュニケーションを心掛け、研究者が謙虚さと敬意をもって行政の担当者など立場の異なる方と接することも、関係構築に欠かせない要素と考えている。
本稿では、本連載の振り返りを行った上で、保健行政にデータサイエンスを応用する上で重要な人材の類型として「中間人材」という考え方をご紹介する。さらに、保健行政の場面で中間人材を生かした事例、中間人材を育成する事例を一つずつご紹介する。
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