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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻11号

2023年11月発行

文献概要

特集 原発事故と健康影響—福島県民健康調査と風評対策

視点・原子力災害時の公衆衛生を振り返って

著者: 安村誠司12

所属機関: 1福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座 2福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター

ページ範囲:P.1076 - P.1078

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原子力災害時の公衆衛生を振り返る
 本稿の執筆依頼文には、執筆に際して「著者独自の視点、ご経験からの率直なメッセージを」「エッセイ的に」とあり、重く考えすぎないでよいという温かさを感じるが、執筆するからには読み終わった際に、読者に、拙文を読んでよかったと思っていただければ幸いである。
 実は筆者は、原子力災害時の公衆衛生について、今まで、意識して、振り返らないようにしてきた。本来は、「過去に学び、現在に生かす」1)、が基本であろう。振り返りは重要だが、経験のない原子力災害、放射能汚染への対応ではうまく対応できなかったことばかりが思い出される。また、被災後は心のゆとりがなく、目の前にある状況に対応するしかできなかった。震災後12年が経過したが、災害は現在進行形で続いており、終わってはいない2)。いまだに「振り返り、総括する」という認識は持てずにおり、実際の状況もまたそうなっていないと考えている。

参考文献

1)安村誠司:連載「日本の災害と公衆衛生—過去・現在・未来」についての紹介.公衆衛生 86: 886-888, 2022
2)安村誠司(編・著):原子力災害の公衆衛生:福島からの発信.南山堂.1頁,2014
3)特集「放射線と向き合う」.公衆衛生 75: 823-866,特集「原子力災害と公衆衛生」.公衆衛生 76: 927-973,特集「災害時の公衆衛生」.公衆衛生 80: 629-693,特集「原子力災害と公衆衛生—避難指示解除後の地域復興に向けて」.公衆衛生 81: 283-341,特集「「放射線リテラシー」をめぐる課題」.公衆衛生 82: 803-853,特集「原発事故と健康影響—福島県民健康調査と風評対策」.公衆衛生 87: 1075-1140
4)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター:県民健康調査. https://fukushima-mimamori.jp/(2023年7月26日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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