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特集 原発事故と健康影響—福島県民健康調査と風評対策
視点・原子力災害時の公衆衛生を振り返って
著者: 安村誠司12
所属機関: 1福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座 2福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター
ページ範囲:P.1076 - P.1078
文献購入ページに移動本稿の執筆依頼文には、執筆に際して「著者独自の視点、ご経験からの率直なメッセージを」「エッセイ的に」とあり、重く考えすぎないでよいという温かさを感じるが、執筆するからには読み終わった際に、読者に、拙文を読んでよかったと思っていただければ幸いである。
実は筆者は、原子力災害時の公衆衛生について、今まで、意識して、振り返らないようにしてきた。本来は、「過去に学び、現在に生かす」1)、が基本であろう。振り返りは重要だが、経験のない原子力災害、放射能汚染への対応ではうまく対応できなかったことばかりが思い出される。また、被災後は心のゆとりがなく、目の前にある状況に対応するしかできなかった。震災後12年が経過したが、災害は現在進行形で続いており、終わってはいない2)。いまだに「振り返り、総括する」という認識は持てずにおり、実際の状況もまたそうなっていないと考えている。
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