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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻3号

2023年03月発行

文献概要

連載 保健行政のためのデータサイエンス・1【新連載】

ヘルスサービスリサーチについての総論

著者: 田宮菜奈子1

所属機関: 1筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野

ページ範囲:P.242 - P.245

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本連載への思い・経緯
1.HSRとの出合い
 筆者は、実は学生時代から、在宅医療など当時診療報酬の枠組みにない地域医療の推進に関わりたく、地域に直接アプローチができる行政職に憧れ、保健所医師を目指していた。しかし医学部最終学年において、新たな施策を行政として広めるには、地域のニーズや期待される効果などエビデンスが必要であるが、その構築が難しいことに気付き、まずはデータから地域のニーズや課題を分析する方法を身に付けるべく公衆衛生の大学院に進学してしまった。当時は大学院に行きながら臨床研修を行えたこともあり、上記のような視点で臨床をしているといろいろな課題に気付いた。まずは自身が初めて担当した脳血管障害の患者さんが、リハビリで自宅退院レベルになったものの、自分が退院後の調整をきちんとしなかったために、相談なしに別の病院に転院し、それを知らされなかった苦い経験がある。急性期の病院から地域にスムーズに流れなければ、医療も無駄になってしまうことを痛感した。それ以降、大学院修了時に行政に進むことも考えたが、日本において地域のデータ分析により保健医療行政を含めたサービスを振り返るという部分が諸外国に比して大変遅れていることに気付き、研究職にとどまった。そして米国に留学し、主に医療サービスの評価方法として体系化された学問ヘルスサービスリサーチ(以下、HSR)に出合った。

参考文献

1)Agency for Healthcare Research and Quality: An Organizational Guide to Building Health Services Research Capacity. https://www.ahrq.gov/funding/training-grants/hsrguide/hsrguide.html(2023年1月16日閲覧・田宮翻訳)
2)田宮菜奈子:保健事業評価の実際—outcome(結果)およびprocess(過程)の評価例.保健婦雑誌 54:114-119, 1998
3)公益社団法人 国民健康保険中央会:国保・後期高齢者ヘルスサポート事業ガイドライン.平成28年1月 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000117695.pdf(2022年11月21日閲覧)
4)森脇睦子,他:全国市町村健康づくり事業において住民ニーズの把握が事業に与える影響について.日本公衆衛生雑誌 53:516-524, 2006
5)筑波大学 医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野:ヘルスサービスリサーチとは. https://hsr.md.tsukuba.ac.jp/about-health_service_research/(2023年11月21日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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