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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻3号

2023年03月発行

文献概要

連載 All about 日本のワクチン・3

インフルエンザワクチン—成人を中心に

著者: 池松秀之12

所属機関: 1日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班 2(株)リチェルカクリニカ

ページ範囲:P.246 - P.249

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1.当該疾患の発生動向
 インフルエンザの発生動向は国が行う発生動向調査により、定点観察が継続されている。毎年冬季に流行が繰り返されている。流行しているのは、A型ではA(H1N1)pdm09亜型とA(H3N2)亜型の2つの亜型、B型では山形系統とビクトリア系統の2系統である。流行するウイルスのパターンは毎年のように変わっており、予測をすることは難しい(図1)1)。日本では、新型コロナウイルス感染症の流行が見られるようになった後、インフルエンザの大きな流行は見られていない。最後の2019-20年シーズンはほとんどがA(H1N1)pdm09型で、2020年の3月以降から2022年10月現在まで、どの型、亜型も国内で流行していない。
 2021/22年シーズンに北米ではA型の流行が見られ、亜型が判定されたものはほぼA(H3N2)であり、南半球のオーストラリアなどオセアニア地区でも2022年7月からA型の流行が見られ、亜型が判定されたものはほぼA(H3N2)であった2)。国内でも既に少数ながら分離されているウイルスはほぼ全てがA(H3N2)である3)。2022/23年シーズンに日本で再び流行が起こる場合には、A(H3N2)が主体となることが予測されるが、他の型・亜型の流行も否定できない。

参考文献

1)日本臨床内科医会インフルエンザ研究班(編):インフルエンザ診療マニュアル2022-23年版(第17版).一般社団法人日本臨床内科医会,2022
2)World Health Organization: FluNet. https://www.who.int/tools/flunet(2022年11月8日閲覧)
3)国立感染症研究所:インフルエンザウイルス分離・検出状況速報 2021/22シーズン.2022年10月11日 https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2019_36w/sinin1_221011.gif(2022年11月8日閲覧)
4)Beyer WE, et al: Antibody induction by influenza vaccines in the elderly: a review of the literature. Vaccine 7: 385-394, 1989
5)池松秀之,他:高齢者における対策—ワクチンによる予防と肺炎対策—.綜合臨床 49: 310-315, 2000
6)e-Govポータル:予防接種実施規則(昭和三十三年厚生省令第二十七号). https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=333M50000100027(2022年11月8日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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