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連載 日本の災害と公衆衛生——過去・現在・未来・5
豪雨災害—平成30年西日本豪雨倉敷市真備町地区
著者: 中瀨克己1
所属機関: 1吉備国際大学保健科学研究科
ページ範囲:P.250 - P.255
文献購入ページに移動倉敷市真備町地区(以下、主に真備町と記す)における2018(平成30)年7月豪雨災害は、7月5日、6日と2晩続く記録的豪雨(倉敷地点観測史上1位の降水量)により、6日から7日にかけて国管理河川2カ所、県管理河川6カ所の堤防が決壊し、真備町の約3割に当たる1,200ヘクタールが浸水被害に遭い、全壊4,645棟(倉敷市)、浸水深は最大5mに及びました。人的被害は過去50年の岡山県内での最悪の死者数となり、県全体61人中51人が真備町(災害関連死を除く、以下同様)の方で、そのうち45人が65歳以上、また44人が自宅で亡くなっていました1)。真備町死者のうち約82%に当たる42人が避難行動要支援者であり、「自分の力で避難できなかった人が犠牲になっている」と指摘されています1)。さらに「浸水深が2m以上になる所では、平家に住んでいる方は絶対に助からない。ハザードマップ上ではこうだと言っても、住民は積極的に見るわけではないので、市町村職員が行って直接言うしかない。市町村には、何年かかってもそういう活動を継続するという決意が必要だ。」と避難行動支援について課題が指摘されています1)。
35%の被災者が「地域で防災訓練を行っていること自体を知らなかった」とアンケート2)では答えており、倉敷市も「地区防災計画」「マイ・タイムライン」を推進し、自分たちの判断で適切な避難行動ができる地域づくりを進める、としています3)。
参考文献
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