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特別企画
—新連載「コロナのない保健所の日記」著者インタビュー—なぜ今、保健所の「小説」なのか?
著者: 関なおみ1
所属機関: 1特別区保健所
ページ範囲:P.258 - P.261
文献購入ページに移動—— 専門雑誌としては珍しい小説連載が始まります。本企画のそもそもの発端は、先生が昨年度に上梓された「保健所の『コロナ戦記』」(光文社新書 以下、コロナ戦記)とその後の弊誌座談会(2022年8月号;86巻8号)がきっかけです。振り返ると、もともとは「公衆衛生医師を目指す人のための教科書」として構想されていましたね。
関 そのとおりです。COVID-19の感染拡大が起こって、保健所に勤務していた公衆衛生医師が大勢辞めました。そのことへの危機感もあって、東京都は都内の医学部がある大学へ、医学生に対する公衆衛生医師の業務説明会を持ち掛け、実施する旨の回答のあった大学に公衆衛生医師を講師として派遣することにしました。私もいくつかの大学の講義を頼まれたのですが、準備が大変で、久々に『疫学マニュアル』を開いたり、『国民衛生の動向』を読んだり、医師国家試験問題の過去問集を借りたりしました。私が元々学生も講義も非常に苦手だということもありますが、一応、学生に興味を持ってもらえるような内容にしたいじゃないですか。都の担当者から標準的な資料はパワポで提供されるんですが、実際の業務とは内容的に齟齬があるなど、「今の保健所」を伝えるにはなかなか難しい部分があったんですね。そのときに、学問としての公衆衛生と、実務としての保健所や公衆衛生医師の仕事のつながりを分かりやすく説明するような教科書があれば、講義に苦労しないのではと思ったんです。
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